殿部に疼痛を抱える患者さんって多くないですか?
梨状筋症候群は、その原因のひとつです。
そもそも梨状筋症候群とは、
(主に)梨状筋が固くなったり攣縮することで、その中を通る坐骨神経を締めつけ、神経痛や感覚障害、筋力低下を引き起こす疾患 を言います。
梨状筋症候群の発生機序には、
①持続的な股関節内旋位固定
②攣縮などによる梨状筋と骨盤外壁との圧迫固定
③内閉鎖筋・上下双子筋による後方への圧排
④術後の坐骨神経周囲の癒着 等
が挙げられます1)。
(梨状筋症候群と名はついていますが、あくまで総称であり、その他の外旋筋が原因の場合もあります。)
これらの問題の多くは、理学療法で解決することが出来ます。
今回は、梨状筋症候群の徒手検査による評価方法と治療についてまとめていきます。
さっそくですが、梨状筋症候群に対し行う評価は以下になります。
- 股関節内旋位でのSLRテスト2)
- Freiberg(フレイバーグ)テスト2)3)
- Paceテスト2)3)
股関節内旋位でのSLRテスト2)
背臥位にて、検査側の股関節を内旋位としSLR(下肢伸展挙上)を行います。殿部痛が出現すれば陽性です。
★実践のポイント★ 実際の臨床では、まず股関節内外旋中間位でSLRを行い、最終域になったら股関節内旋を加えるという方法をオススメします。股関節内旋位にした時に殿部痛が出現したり、疼痛が増強する場合は、梨状筋症候群が強く疑われます。
Freiberg(フレイバーグ)テスト2)3)
背臥位にて、検査側の骨盤を固定し、膝屈曲位で股関節屈曲(90°以上)・内旋をさせます。殿部痛が出現すれば陽性です。 骨盤固定で陰性、骨盤非固定で陽性であれば、仙腸関節障害による疼痛を疑います。
(仙腸関節障害の評価については、こちらの記事も参考にしてみて下さい)
Paceテスト2)3)
座位にて、検査者の徒手抵抗に抗して、股関節外転・外旋をさせます。殿部痛や筋力低下があれば陽性です。
これらの検査で陽性となったら、まずは梨状筋に対してアプローチを行い、治療を進めていきましょう。
梨状筋症候群では、梨状筋の伸張性が低下しているだけではなく、筋スパズムを起こしている例も多いです。 そのため、治療ではストレッチと併用して反復収縮を促すことが、効果的です。
梨状筋のストレッチ方法については、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
梨状筋症候群による殿部痛は、即座に疼痛を取り除けることも少なくありません。
まるで魔法のように痛みが消えるため、患者さんも驚き喜びます。
ただし、急性の疼痛であったり、殿部荷重が出来ないほどの強い痛みがあるような例では、神経刺激により疼痛を増悪させる可能性もあるため、注意が必要です。
いかがでしょうか?
治療に悩む理学療法士の少しでも参考になればと思います。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)松本正知, et al. 梨状筋症候群に対する運動療法の試み. 理学療法学, 2003, 30.5: 307-313.
2)林典雄,et.al:関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 第2版.株式会社メジカルビュー社.2015.
3)齋藤貴徳. 梨状筋症候群の診断と治療. 日整会誌, 2006, 80: 406.
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