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棘上筋の機能解剖
棘上筋は、前部繊維と後部繊維に分けられます(図1)。
図1 棘上筋の繊維
棘上筋前部繊維は、大結節の最も高位にあり腱性部は長くて太くなっています²⁾³⁾。上腕骨内旋作用があるとされています。
棘上筋後部繊維は、筋性部であり表層を棘下筋が覆っています²⁾。
棘上筋停止部の一部は、小結節に付着する²⁾と報告されています(図2)。
図2 棘上筋停止部の解剖
2)より画像引用
肩関節外転運動時の棘上筋と三角筋の相互作用は、動作の安定性に寄与しフォースカップル⁴⁾と呼ばれています(図3)。
図3 腱板(棘上筋)と三角筋のフォースカップル
4)より画像引用
棘上筋の屈曲および外転作用⁵⁾は、上腕骨下垂位で最も大きく、屈曲および外転角度が大きくなるにつれてモーメントアームは減少します。120°屈曲位ではほとんど屈曲作用はなくなるとされています。
棘上筋の触診とアプローチ
棘上筋はその表面を僧帽筋中部繊維に覆われています(図4)。
図4 棘上筋の解剖図
棘上筋は、肩甲棘の上方をやや強めに圧迫することで僧帽筋の深部でコリっとした筋腹に触れることができます。
🎥棘上筋の触診とアプローチ
棘下筋の機能解剖
棘下筋全体では、肩関節外転45°から筋活動が増加し90°以上で強く作用²⁾します。また肩関節屈曲位よりも外転位のほうが外旋モーメントが大きい⁵⁾です(屈曲位では小円筋の作用が大きい)。
棘下筋は、横走繊維(上部繊維)と斜走繊維(下部繊維)に分けられます(図5)。
図5 棘下筋の繊維
棘下筋横走繊維は、斜走繊維に停止²⁾します。上腕骨下垂での外旋で収縮強度が高まります⁶⁾。肩関節外転角度が大きい肢位では外旋運動の筋活動が低下⁷⁾し(図6)、肩関節屈曲90°位ではその作用ベクトルの関係よりむしろ水平伸展筋として作用⁶⁾します。
棘下筋斜走繊維は、大結節上面に停止²⁾します。肩関節外転角度が大きい肢位で外旋運動の棘下筋全体に対する斜走線維の活動比が高まります⁷⁾。
図6 異なる外転角度における外旋運動
A:肩甲上腕関節外旋の運動方向(細矢印)と横走線維方向(太矢印)が一致
B:肩甲上腕関節外旋の運動方向(細矢印)と横走線維方向(太矢印)が不一致
7)より画像引用