頸部の触診
頸椎棘突起の触診
頸椎棘突起の触診では、まずは隆起が最もわかりやすい第2頸椎棘突起および第7頸椎棘突起の位置を確認します(図1)。
図1 第2頸椎棘突起および第7頸椎棘突起
第2頸椎棘突起は、外後頭隆起から軽く圧迫をしながら下方になぞるように進めるとはじめに触れられる骨隆起になります(図2)。頸椎上部の中では最も後方に突出しているため触知しやすいです。
図2 第2頸椎棘突起の触診方法
第7頸椎棘突起は、頸部屈曲位で多くの場合に最も後方に隆起します(図3)。
ただし、骨形状の個人差により第6頸椎および第1胸椎との鑑別が難しい場合もあります。
図3 頸椎屈曲位のレントゲン画像(第7頸椎棘突起)
第3〜6頸椎棘突起は、第2頸椎棘突起から下方へ、または第7頸椎棘突起から上方へひとつずつ骨隆起を辿っていくことで位置を確認することができます。
項靭帯の緊張を避けられるため、頸部軽度伸展位の方が触れやすくなります。
🎥頸椎棘突起の触診
乳様突起の触診
乳様突起は、外耳孔のすぐ後下方にあり、下方に隆起した突起になります(図4)。
図4 乳様突起
前額面上で、乳様突起の高さの左右差を比較することで、頭部の側方傾斜を評価することができます。
また、乳様突起には胸鎖乳突筋が付着します。前額面上における乳様突起の下制側は、胸鎖乳突筋の短縮位となったり過緊張を起こしていることが多いです(図5)。
図5 胸鎖乳突筋の短縮と乳様突起の下制
🎥乳様突起の触診と頭部アライメント評価
環椎横突起の触診
環椎横突起は、乳様突起と下顎角を結んだ中点¹⁾で触れられるとされています(図6)。
図6 環椎横突起の触診位置
水平面上での高さの左右差を比較することで、頭部および上位頸椎の回旋方向のアライメントを評価することができます。
🎥環椎横突起の触診とアライメント評価
頸部痛のサブグループ化(分類)に基づく介入
近年、疼痛などの症状に対して、患者をサブグループ化(分類)して特異的に介入を行うことが重要視されています。
頸部痛にする分類法のひとつTreatment Based Classification(以下,TBC)をご紹介します。
TBCは、評価によって1.Mobility、2.Exercise and conditioning、3.Centralization、4.Headache、5.Pain control の5つに患者を分類²⁾³⁾します。
実際の分類方法は、TBCのアルゴリズムに則り行います(図7、図8)。
図7 TBCのアルゴリズム
2)より引用
図8 TBCの各分類の特徴
2)より引用
アルゴリズムに含まれるNDIスコアは、国際的に最も多く使用されている頸部痛用の自己記入式の質問票日本語版の信頼性や妥当性も報告⁴⁾されています。
これらの分類法を活用したり、red flagsやyellow flagsの理解が治療方針を決めていく上で重要となります。