半月板は、膝関節のなかで動くものです。
そんなの当たり前じゃん?
というセラピストの方は、すでに臨床である程度の経験をされているのだと思います。
半月板は理学療法の治療対象だというお話を、こちらの記事でさせて頂きました⏬⏬
https://forphysicaltherapist.com/post-398/
今回は、半月板のインピンジメント治療を行う上で大事な、
半月板の前方・後方への移動のメカニズムをご紹介します。
半月板の主な役割は、脛骨大腿関節にかかる圧縮ストレスを緩衝すること1)です。
そのため、膝関節の動きに合わせて、半月板自体もしっかり移動してクッションになることが大切です。
それではさっそく、、、
・半月板の前方移動メカニズム
大腿四頭筋の収縮
大腿骨顆部のロールフォワード(roll-forward)に伴う膝蓋骨を前方への押し出し
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膝関節伸展に伴い
①膝蓋骨を前上方へ牽引
②後斜靱帯および半月大腿靱帯の緊張
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①による内・外側半月膝蓋靱帯の緊張、膝蓋下脂肪体の前方牽引に伴う膝横靱帯の緊張
②による半月板の後方からの押し出し
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半月板が前方へ移動
・半月板の後方移動メカニズム
膝関節屈曲運動(自動・他動)
大腿骨顆部のロールバック(roll-back)に伴う膝蓋骨下制
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膝蓋骨下制に伴う前方組織(半月膝蓋靱帯、膝蓋下脂肪体など)の弛緩
半膜様筋の収縮による内側半月板の牽引
膝窩筋による外側半月板の牽引
後斜靱帯および半月大腿靱帯の弛緩に伴う後方スペースの拡大
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半月板が後方へ移動
半月板に結合する組織
2)より画像引用一部改変
これらのメカニズムに関与する組織に、
伸張性・滑走性・柔軟性の低下、筋攣縮、癒着、炎症・・・などが起こると、
半月板の移動は制限されインピンジメントを引き起こします。
原因組織の評価には、触診や徒手検査の精度を高めていくほかにも、エコー検査によって半月板の逸脱がみられることもあり、評価の参考となります。
また、制限を引き起こしている原因組織に的確なアプローチができると、即座に膝関節痛が改善することも多くみられます。
いかがでしょうか?
膝関節痛を引き起こしているおおもとの原因が、膝関節よりも上または下の関節にあるのがほとんどだということも忘れてはいけません。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)Neumann, Donald A:筋骨格系のキネシオロジー 原著 第3版.医歯薬出版株式会社, 2012.
2)工藤慎太郎:運動器障害の「なぜ?」がわかる評価戦略.株式会社医学書院,2018.
3)林典雄:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 第2版.株式会社メディカルビュー社,2015.
4)A.I.KAPANDJI:カパンジー機能解剖学Ⅲ 原著第7版.医歯薬出版株式会社,2019.
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