下位胸郭の拡張機能不全(Chest gripping)¹⁾²⁾³⁾
下位胸郭の拡張機能不全(Chest gripping)とは、上部腹筋群の過緊張によ り下位胸郭の拡張が制限される状態とされています。
下位胸郭の拡張機能不全は、胸郭の各関節に圧縮力を生み、体幹の伸展・回旋を制限すると指摘されています。
また、後屈時に増悪する腰痛(伸展型腰痛)の原因となる胸郭マルアライメントとして、下位胸郭の拡張不全が挙げられています。
下位胸郭の横径に異常が生じる原因としては、下位胸郭キャリパー運動異常、下位胸椎回旋、上部腹筋群・軟部組織の過緊張などによる下位胸郭の横径拡張の不足、下後鋸筋の機能不全が挙げられています。
脊柱後弯位と胸郭運動の関連
前かがみ座位による脊柱後弯位では、吸気に伴う上位胸郭の前上方への運動が制限される⁴⁾ことが示されています(図1)。
図1 脊柱後弯に伴う上位胸郭の運動制限
4)を参考に作成
また、加齢変化に伴う円背(後弯)姿勢では、呼吸機能が低下する⁵⁾とされています。
これらを踏まえて、上位胸郭の拡張制限がみられる場合には、脊柱アライメントとの関連を視野に入れて合わせて評価する必要性があります。
触診による肋骨の部位同定
触診による肋骨の部位同定は、胸郭アライメントの評価や筋触診に必要なランドマークとして身につけたい標準スキルとなります。
この項では、「何番目の肋骨に触れているのか」その精度を高めて正確なものとすることを目標にします。
第2肋骨の触診
第2肋骨は、胸骨角の高さで外側に触れることができます(図2)。触診が難しい場合は、頸切痕→胸骨角→第2肋骨の順に触れてみましょう。
図2 第2肋骨の位置
第1肋骨の触診
第1肋骨は、鎖骨近位端の直下で、第2肋骨から上方に触れることができます。
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