半月板の移動とメカニズム

半月板の移動量と方向

膝関節屈伸時の半月板の移動量

半月板は膝関節屈曲0〜90°の範囲で、非荷重下より荷重下の方が移動量が大きい¹⁾です(図1)。

内側半月板の移動量¹⁾
【荷重下】
前節部:後方へ7.1mm
中節部:外側へ3.6mm
後節部:後方へ3.9mm
【非荷重下】
前節部:後方へ5.4mm
中節部:外側へ3.3mm
後節部:後方へ3.8mm

外側半月板の移動量¹⁾
【荷重下】
前節部:後方へ9.5mm
中節部:外側へ3.7mm
後節部:後方へ5.6mm
【非荷重下】
前節部:後方へ6.3mm
中節部:外側へ3.4mm
後節部:後方へ4.0mm

図1 半月板の膝関節屈曲0〜90°までの移動量
左:荷重下 右:非荷重下
(Medial:内側半月板、Lateral:外側半月板)
1)より画像引用

半月板は、膝関節伸展運動では前方移動し、屈曲運動では後方へ移動することを覚えておきましょう。

下腿回旋時の半月板の移動方向

下腿内旋時、内側半月板は前方へ、外側半月板は後方へ移動²⁾します(図2)
下腿外旋時、内側半月板は後方へ、外側半月板は前方へ移動²⁾します(図2)

脛骨の回旋運動方向に対して、半月板は逆方向へ移動します。これは、大腿骨によって引っ張られる他動的なものと能動的因子が存在するとされています。

図2 下腿回旋時の半月板の移動方向(右膝水平面)
左:外旋 中央:ニュートラル 右:内旋
2)より画像引用

半月板インピンジメント由来の膝関節痛は、上述した半月板の運動が制限を受けることで、大腿骨顆と関節窩の間に挟み込まれて生じるとされています(図3)。

図3 半月板インピンジメント
https://www.capetownorthopaedic.co.za/clinical-and-arthroscopic-diagnosis-of-meniscal-lesions.phpより画像引用

MEMO 前十字靭帯と半月板の関係
半月板は膝関節の前後方向の安定性に寄与しています。前十字靭帯損傷による不安定性が見られるケースでは、内側半月板への負荷が1.5〜3.0倍まで増加する³⁾とされています。

半月板の前方・後方移動のメカニズム

半月板の運動は膝関節運動や連結する組織の牽引によって引き起こされます。

関節包内運動と半月板の前方・後方移動⁴⁾⁵⁾

膝関節伸展運動では、大腿骨は脛骨に対して前方へ転がり後方へ滑ります。脛骨は大腿骨に対して前方へ転がりかつ前方へ転がります。
この時、半月板は前方へ移動します(図4)。

膝関節屈曲運動では、大腿骨は脛骨に対して後方へ転がり前方へ滑ります。脛骨は大腿骨に対して後方へ転がりかつ後方へ転がります。
この時、半月板は後方へ移動します(図4)。

図4 関節包内運動と半月板の前方・後方移動

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