腸腰筋の短縮テスト(Thomasテスト変法)と触診

腸腰筋の短縮テスト(Thomasテスト変法)

腸腰筋の短縮は、Thomasテストによって評価することができます(図1)。
Thomasテストでは、背臥位で対側股関節を屈曲した際に、検査側の下肢が浮いてくると陽性になります。

Thomasテストはその妥当性が報告されている一方で、Harbey¹⁾によって、Thomasテスト変法が提案されています(図1)。

図1 腸腰筋の短縮テスト(ThomasテストとThomasテスト変法)
2)より画像引用

ここでは、より詳細な評価が可能なThomasテスト変法をご紹介します。

Thomasテスト変法²⁾では、ベッドの端に座った状態で反対側の大腿を胸までつけるように抱えることで充分に腰椎の前弯減少と骨盤の後傾をさせて、検査側の膝関節より遠位はベッドより出したまま背臥位になることで、検査側の股関節が屈曲する程度を評価します。

正常では、検査側の股関節伸展0°で、オーバープレッシャーをかけると股関節10°まで達する³⁾とされています(図2、3)。

図2 Thomasテスト変法の正常例

図3 Thomasテスト変法の陽性例(腸腰筋の短縮)

さらに検査では、腰椎前弯による代償に注意します(図4)。

図4 Thomasテスト変法の腰椎前弯による代償

制限因子の鑑別方法

Thomasテストは、腸腰筋の短縮テストとして有名ですが、Thomasテスト変法では、どの筋が股関節伸展の制限因子かを評価するのに役立ちます。

【大腿直筋による制限との鑑別】

評価方法①:検査側の膝関節を他動的に伸展する(図5)

図5 大腿直筋の短縮との鑑別①

股関節伸展ROMが増大する場合は、大腿直筋の制限が優位、股関節伸展ROMが変わらない場合は、腸腰筋の制限が優位と判断します。

評価方法②:検査側の膝関節を他動的に屈曲する(図6)

図6 大腿直筋の短縮との鑑別②

膝関節他動屈曲に対する抵抗感があり股関節伸展ROMが減少する場合は、大腿直筋の制限が優位、膝関節屈曲80°以上⁴⁾可能な場合は、腸腰筋の制限が優位と判断します。

【大腿筋膜張筋の制限との鑑別】

評価方法:検査側の股関節を他動的に外転・内旋する(図7)

図7 大腿筋膜張筋の短縮との鑑別

股関節を他動的に外転・内旋して股関節伸展ROMが増大する場合は、大腿筋膜張筋の制限が優位と判断します。

【大腰筋と腸骨筋の制限の鑑別】

検査方法:体幹を同側・対側に側屈する(図8)

図8 大腰筋と腸骨筋との鑑別

体幹を同側に側屈して股関節伸展ROMが増大する、対側に側屈して股関節伸展ROMが減少する場合は、大腰筋の制限が優位と判断します。

腸腰筋の触診

大腰筋の間接的触診

大腰筋(近位)は、腹直筋の外側縁の外側から内・背側に奥深く圧迫することで間接的に触れることができます(図9)。

図9 大腰筋(近位)の触診エリア

内・外腹斜筋、腹横筋、大腸(上行結腸)および小腸を越えた深層で触れます(図10)。

図10 大腰筋と臓器の位置関係

腰椎椎体の骨の硬さまで到達し股関節屈曲自動運動を行うと大腰筋の収縮を確認することができます。

触診時の高位は、臍の高さを目安とします。臍の高さは、およそ第4腰椎椎体の高さ⁵⁾と一致します(図11)。

図11 臍の高さと第4腰椎の高位の一致

🎥大腰筋の間接的触診動画

※腹部膨満により触診が難しい場合があります。

腸腰筋の触診

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