半月板は理学療法の対象だという認識を持っていますか?
整形やスポーツ領域である程度長く働かれている理学療法士の方は、そんなの常識だという方も多いかもしれません。
ですが、
膝関節痛の原因は半月板だと的確に評価し、かつ治療できるセラピストは一体どれくらいいるのでしょうか?
もちろん半月板のすべてを理学療法士が治療できるわけではありません。
半月板損傷の場合には、縫合術や切除術が必要な場合があります。
(もちろん術後のリハビリも大事)
しかし、
半月板の可動性低下によるインピンジメントで生じる膝関節痛については、理学療法士の番です!
では、ここから半月板の可動性低下によるインピンジメントへのアプローチについて説明していきます。
まず、
インピンジメントには、
前方インピンジメント(膝関節伸展時)
後方インピンジメント(膝関節屈曲時)
があります1,2)。
どちらも膝関節運動の際に、半月板が前方(膝関節伸展時)または後方(膝関節屈曲時)へ半月板がしっかりと移動しないことが問題となって、膝関節痛を引き起こしています。
では、半月板の可動性を低下させてしまう要因は何か、、、
前方インピンジメントでは、
- 膝蓋下脂肪体の柔軟性低下
- 内・外側膝蓋支帯の柔軟性低下
- 半膜様筋の筋攣縮(内側半月板)
- 膝窩筋の筋攣縮(外側半月板)
が挙げられます。
後方インピンジメントでは、
- 大腿四頭筋の柔軟性低下
- 膝蓋下脂肪体の柔軟性低下
- 半月膝蓋靱帯の柔軟性低下
- 半膜様筋の筋攣縮(内側半月板)
- 膝窩筋の筋攣縮(外側半月板)
が挙げられます。
あくまで半月板由来のインピンジメントにおける要因だという点にご注意下さい。
半月板に結合する組織
3)より画像引用一部改変
半月板自体に強い炎症所見がなければ、上記の組織にアプローチすることで即座に疼痛が改善することもあります。
ただし、ここで大事なことは、
半月板の可動性低下に伴う膝関節痛だと判断する評価スキルです。
視診(アライメント評価)や触診(圧痛所見、筋硬結や攣縮部位の特定)、徒手検査を用いて、
「どうやら半月板があやしいぞ」
と辿り着く過程を大切にしていきたいものです。
そのためには、半月板の前方移動や後方移動のメカニズムに関する知識も必要になってくるかと思います。
このあたりはまた次の機会に。
半月板にアプローチできる理学療法士、カッコイイです。(偏見)
情報は随時更新していきます。
ご質問やご指摘も募集中です。
参考・引用文献
1)橋本貴幸:膝関節拘縮の評価と運動療法 第1版.株式会社運動と医学の出版社,2020.
2)林典雄:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 第2版,株式会社メディカルビュー社,2015.
3)工藤慎太郎:運動器障害の「なぜ?」がわかる評価戦略.株式会社医学書院,2018.
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