骨盤荷重伝達障害の評価とアプローチまとめ⑤〜骨盤帯のアライメント評価、アプローチ、臨床動画〜

骨盤帯のアライメント評価

骨盤帯の非対称性(マルアライメント)が腰痛の原因になりうるとの報告¹⁾²⁾は散見されますが、エビデンスに関しては賛否両論です。実際の臨床では、骨盤帯のマルアライメント修正(左右差の減少)に対するアプローチによって腰痛などの症状が改善するケースもあるため、その評価方法についてご紹介します。

寛骨対称性の評価

骨盤の非対称アライメント評価として、立位または背臥位でのASIS およびPSISを触診によりアライメントを判断します。

右寛骨前傾、左寛骨後傾の場合、身体の前面において右ASIS は下方へ、左 ASIS は上方に偏位します。身体の後面においては、この逆に、右 PSIS は上方へ、左 PSIS は下方に偏位します(図1)。レントゲン上での恥骨結合の上下偏位も骨盤帯のマルアライメントを把握する上で重要な手掛かりとなります。

図1 骨盤帯のマルアライメント
(右腸骨前方回旋、左腸骨後方回旋の例)
3)より画像引用

仙骨マルアライメントの評価

仙骨マルアライメント評価は、骨盤帯荷重伝達障害の予測に役立ちます。立位または腹臥位にて左右のPSIS間の垂直二等分線と仙骨の長軸との位置関係を確認します³⁾(図2)。実際の臨床では、左右のPSISと尾骨の3点を触診することでおおよその位置関係を把握します。

図2 仙骨のマルアライメント
3)より画像引用

仙腸関節動揺性と大殿筋の緊張伝達不全に左右差が存在すると、尾骨は大殿筋緊張の伝達異常がある側から遠ざかるように偏位し、それに抵抗する梨状筋の緊張が高まる²⁾と予測されています。

例えば、図2のbの場合は、尾骨が右に偏位しており、左右どちらかの仙腸関節の不安定性と左大殿筋の緊張伝達不全が疑われます。

実際の臨床では、仙骨のマルアライメント評価大殿筋筋力の左右差をMMTによって評価し、評価結果を統合することで臨床推論することを推奨します。

骨盤荷重伝達障害に対するアプローチ

骨盤荷重伝達障害に対するアプローチの例を以下にご紹介します。
臨床で有用性を実感している方法のみご紹介します)

即時的な大殿筋筋出力UPを目的とした徒手アプローチ

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