膝関節に作用する筋肉の触診方法【全23動画付き】
[st-kaiwa1]臨床で自信を持った触診ができていますか?[/st-kaiwa1]

 

触診によって筋肉から得られる情報には、

①筋緊張(収縮と弛緩)の状態
②筋硬結、癒着部位の特定
③圧痛(損傷)部位の特定
④滑走性の状態

などが挙げられます。これらの情報を理学療法士として専門的に評価していくためには、まず正確に筋肉に触れることがとても大事な第一歩となります。

 

今回は、膝関節に着目し、筋肉を触診をするうえで大事な解剖の基礎骨ランドマーク筋肉の触診方法の実際(全動画)触診の重要性についてまとめていきます。

 

膝関節に関わる骨および筋肉

下肢の骨解剖図

膝関節の骨解剖図

膝関節の筋解剖図①

膝関節の筋解剖図②

 

膝関節に関わる臨床で大事な骨ランドマークの触診方法

ここでは、膝関節に作用する筋肉を触診するうえで押さえておきたい骨ランドマークについて動画でご紹介します。(各動画は文献1,2,3)を参考に作成しています)

 

・上前腸骨棘(ASIS)

上前腸骨棘は腸骨稜の前方端にある突起部のことをいいます。縫工筋が付着します。

 
・下前腸骨棘(AIIS)

下前腸骨棘は上前腸骨棘の内下方に位置する突起部をいいます。大腿直筋が起始します。

 
・上後腸骨棘(PSIS)

上後腸骨棘は腸骨稜の前方端にある突起部をいいます。骨盤アライメントや仙腸関節の可動性の評価などに用いられます。

 
・坐骨結節

坐骨結節は、坐骨の後下方に位置する隆起部をいいます。坐骨結節の上部には大腿方形筋上外側部には半膜様筋下部には大内転筋下内側部には大腿二頭筋長頭と半腱様筋が付着します。

 

・膝蓋骨(内側縁、外側縁、膝蓋骨底、膝蓋骨尖)

膝蓋骨の上端を膝蓋骨底、下端を膝蓋骨尖、内側端を内側縁、外側端を外側縁といいます。膝蓋骨のアライメントや可動性評価のほか、膝関節裂隙の触診に重要です。

 

・膝関節内側関節裂隙(大腿骨内側顆,脛骨内側顆)

膝関節内側関節裂隙は、大腿骨内側顆と脛骨内側顆で形成される関節窩をいいます。半月板内側側副靱帯の触診で重要です。

 

・膝関節外側関節裂隙(大腿骨外側顆,脛骨外側顆)

膝関節外側関節裂隙は、大腿骨外側顆と脛骨外側顆で形成される関節窩をいいます。半月板外側側副靱帯の触診で重要です。


・大腿骨内側上顆および外側上顆

大腿骨内側上顆は、大腿骨遠位内側の突起部をいいます。腓腹筋内側頭内側側副靱帯が付着します。
大腿骨外側上顆は、大腿骨遠位外側の突起部をいいます。腓腹筋外側頭膝窩筋外側側副靱帯が付着します。

 
・内転筋結節

内転筋結節は、大腿骨内側上顆の情報に位置する骨隆起をいいます。大内転筋腱性部が付着します。

 
・脛骨粗面

脛骨粗面は、脛骨近位前面にある骨隆起をいいます。膝蓋靱帯(大腿四頭筋の複合腱)が付着します。

 
・Gerdy結節

Gerdy結節は、脛骨粗面の上外側ある斜縁よりもさらに上外側に位置します。腸脛靱帯が付着します。

 
・腓骨頭

腓骨頭は腓骨近位の膨大部をいいます。前面には長腓骨筋と長趾伸筋後面にはヒラメ筋の一部外側面には大腿二頭筋が付着します。

 

 

膝関節に作用する筋肉の起始停止と触診方法

ここでは、膝関節に作用する筋肉の起始停止を確認したうえで、実際の筋の触診方法について動画でご紹介します。(各動画は文献1,2,3)を参考に作成しています)

 

・大腿直筋

 


・内側広筋

  


・外側広筋

 

 
・縫工筋

 


・大腿筋膜張筋

 

 
・薄筋

 

 
・半腱様筋

 


・半膜様筋

 

 
・大腿二頭筋腱(長頭・短頭)

 


・膝窩筋

 

 
・腓腹筋

 

膝関節周囲の触診技術を高める意義

臨床で膝関節疾患をみる機会は非常に多いです。

変形性膝関節症、半月板損傷、ACL損傷、ハムストリングス肉離れ、腸脛靭帯炎、鵞足炎...

例えば、変形性膝関節症の症例では、膝の変形が痛いわけではありません。
滑膜炎や微小骨折が原因となる疼痛は、医師によってヒアルロン酸注射や手術の適応となりえますが、それ以外は理学療法士の出番です。

半月板軟部組織(筋肉や靭帯、皮膚、皮下組織)脂肪体...

どの組織が痛いのか、伸長性や滑走性が低いのか、を正確に触れてかつ組織を動かすスキルが求められます。

 

そのためにもまずは、解剖学を理解し、自分が触れたい組織に正確に触れるための触診練習が必要不可欠です。

コロナ禍でなかなか実技講習会の機会が少ないので、ぜひ動画でみて家族のカラダで練習してみてください

 

参考文献
1)林典雄:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 改訂第2版.株式会社メディカルビュー社,2012.
2)工藤慎太郎:機能解剖と触診.株式会社羊土社,2019.
3)坂井建雄,他監訳:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版,株式会社医学書院,2017.

 

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