歩行分析に自信はありますか?
動作・歩行分析は理学療法士の専売特許ともいえますが、自信を持って行えているでしょうか。
学校では正直ロクに教えてもらえないし、講習会に通いながら実際の臨床で数をこなしてスキルを高めていくのが一般的な流れかなと思います。
結局のところ、経験がものをいう感じは否めませんが、
そもそも歩行分析で何をどうみていけばいいかわからず悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、
・歩行分析に最低限必要な知識
・臨床での歩行のみかた
をまとめていきます。
それではさっそく、、、
まず、歩行分析をするために事前に頭にいれておきたい知識はこれらです!
・正常歩行の各相における可動域
・異常歩行には何があるのか
この2点は最低限押さえておきましょう。
正常を知らずして、異常の発見はできないので、まずはどの相でどれくらいの可動域をもって歩行は行われているのかを把握しておきましょう。
正常歩行の各相における可動域はこちらになります。
歩行を相で分けてみた時に、正常角度が得られていない関節があれば、必ず他の部位で何かしらの代償や異常パターンがみられると考えます。
次に、異常歩行にはどんなものがあるか、ですがメジャーなものは頭に入れておいた方が異常を検知しやすいです。
異常歩行はこちらの評価表を参考にしてみてください。
では、これを踏まえて、歩行分析はどう進めていけばいいのか説明していきます。
まず、分析から治療までの流れを一度確認しておきましょう。
①歩行観察
②分析と問題点を仮説
③局所評価(徒手検査、理学療法評価)
④治療(理学療法)
この過程を繰り返すことが大切です。
①と②の間に徒手的な操作やテーピング、足底板などを用いて、身体反応をみたうえで③に進むこともあります。(熟練したセラピストはこの過程を踏んでいます)
次に、歩行分析をする目的をしっかり把握しておきましょう。
歩行分析をする目的は大きく2つあります。
・歩行能力を高めるため
・症状(疼痛など)との関連を調べるため
目的に応じて、最初にみるべきポイントは変わってきます。
目的が『歩行能力を高めるため』であれば、能力低下を起こしている原因は何かを探す視点で分析していきます。
この場合は、まず全体像をみることが大切です。
全体像を見るうえで大事なチェックポイントを挙げておきます。
目的が『症状との関連を調べるため』であれば、例えば膝が痛みを引き起こしている原因は何かをバイオメカニクスの視点で分析していきます。
この場合は、症状のある部位(関節)にどんなメカニカルストレスがかかっているか、また隣接する関節には何が起こっているのかをしっかり観察してみましょう。
まとめますと、、、
まず、
歩行をみる前に、歩行の各相における正常の可動域とメジャーな異常パターンを頭に入れておくこと
そして、
歩行をみる目的が、歩行能力を高めるためか、症状との関連を調べるためか、どちらなのかをしっかり認識すること
そこから、
全体像からみるのか、局所からみるのかを判断します。
これを事前にはっきりさせておくことで、
『何から見たら良いのかわからない』
を解決できると思います。
いかがでしょうか?
今回、画像で紹介した内容(歩行の正常可動域や異常歩行、全体像のチェックポイント)をエクセルファイルで置いときますので、グラフ化するなど使いやすい形にアレンジしてみて下さい⏬
歩行分析の評価ポイント(エクセルファイル)
歩行分析に悩むセラピストの一参考となれば幸いです。
最後に、、、
観察の目を養うには、どうしても経験を積んでいく必要があります。
経験を積む方法には、
①トライ&エラーで患者さんを通して学ぶ
②他の理学療法士の見解と照らし合わせる
の2つ挙げられます。
②他の理学療法士の見解と照らし合わせるに関して、オンライン上で他の理学療法士の歩行分析結果を共有できるコミュニティを開設してあるので、ご興味ある方は、こちらを読んでみて下さい⏬⏬
参考・引用文献
1)月城慶一ら:観察による歩行分析 第1版.株式会社医学書院,2013.
2)石井慎一郎:動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践 第1版.株式会社メディカルビュー社,2015.
3)Neumann, Donald A.:筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版. 医歯薬出版株式会社, 2018.
4)入谷誠ら:入谷誠の理学療法 第1版.株式会社運動と医学の出版社,2020.
5)山口光圀ら:結果の出せる整形外科理学療法 運動連鎖から全身をみる 第1版.株式会社メディカルビュー社,2012.
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