入谷誠 先生をご存じですか?
理学療法士なら、おそらく誰でも名前を聞いたことがあると思います。
間違いなく業界のトップだった方ですが、ガンを患い2016年に亡くなられています。
入谷式足底板(インソール)が最も有名で、亡くなる直前まで臨床をとことん追求されていた先生です。
(私自身は直接お会いしたことはなく、ひとづてに聞いたお話です)
そんな入谷先生の最後の書籍となる
入谷誠の理学療法 評価と治療の実際
が本日(2020/5/31)発売されました。
実際の執筆のほとんどは、この本を出版し入谷先生の弟子にあたる園部先生がされたそうです。(生前に入谷先生に原稿のチェックを受けていたそう。)
すでにAmazonの『理学療法』カテゴリーでは、ベストセラー1位を獲得されている話題の本書について、今回はレビューしていきます!
まず、目次はこちらです!
第1章 仮説検証作業
第2章 関節モーメント
第3章 評価
第4章 入谷式カウンター理論
第5章 治療:入谷式足底板
第6章 治療:入谷式エクスパンディング・エクササイズ
第7章 治療:入谷式皮膚誘導を応用した治療
第8章 疾患別の主要な問題点と改善の糸口
amazon購入ページから引用
それではさっそく、、、
読んでみて良かった点と悪かった点について!
⚫良かった点
◎歩行周期における関節モーメント(バイオメカニクス)を理解しやすい
◎臨床でどう歩行分析をすればよいかがわかる
◎歩行分析をどう解釈し、どうアプローチすればよいかがわかる
◎入谷式足底板を学べる
◎テーピングを用いた評価方法を学べる
◎よくある整形疾患の主な問題点を知れる
「歩行のみかたがわからない、自信がない」
といったセラピストにはうってつけの本かも知れません。
歩行において、どの相で、どこの関節に、どんなモーメントがはたらく(どんな負荷がかかる)のか、そのモーメントを強めてしまう(問題となる)因子は何か、といったバイオメカニクス的な解釈を知ることができます。
あと個人的に読んでいて面白かったのは、
筋肉の役割を遠位と近位で分けて考えるというものです。
例えば、
大腿直筋の筋緊張は、近位では股関節屈曲モーメント、遠位では膝関節伸展モーメントの影響を受ける
といったものです。
そのため、触診で大腿直筋の近位が張っていたり、固かったりしたら股関節屈曲モーメントを増大させる原因があるな、と解釈します。
筋肉の状態と実際の歩行分析とを関連付けてみるのはとても大切な視点です。
⚫悪かった点(というよりも注意点?)
◎あくまで一理学療法士が臨床で現象をどう解釈し、どうアプローチをしていたのかが書かれた本
◎実際の執筆のほとんどは園部先生だということ(入谷先生ご本人が最初から最後まで書き上げた本ではない)
◎内容自体はほぼ整形領域
30年以上に渡って、臨床で患者をよくするにはどうしたら良いのかを追究してきた日本のトップセラピストの考え方を学べるのは非常に魅力的ですが、これが臨床のすべてではないということを、もちろんながら理解しておきたいものです。
この本を一言で言うと、
「臨床ってこうやってみていけばいいんだ!」
がわかる本だと思います。
実際の臨床は、
「この原因はこれかな?」
「こうするとよくなるかな?」
「ダメなら原因はやっぱりこれかな?」
「お!こうすると良くなるぞ!」
といったトライ&エラーを繰り返しますが、その手助けになる本だと思います。
(園部先生はよく仮説と検証の繰り返しが大事とおっしゃいます)
この本の最大の魅力は、
歩行分析から問題点の仮説をしっかり立ててアプローチできるようになる
点だと思います。
最後に、タイトルにある「買うべきか?」の結論を述べますと、、、
臨床で患者さんをどうみたらいいのかわからなくて困っている人は買いましょう!
です。笑
特に歩行分析で悩んでいる人にはオススメです。
逆に、患者さんをちゃんとみることができて、ある程度の成果をしっかり出せている人には、不要な本かも知れません。そういった方は、やはり一度手に取ってみて、自分に新たな発見があるのかを確認してみるのが良いと思います。
正直、内容を見る以前に
話題になっているから買った本 だったのですが、実際に読んでみたら
「あれ、なんだかオモシロいやん」(何様)と満足のいく内容でした。
これから購入を検討されている方の参考になればと思います。
入谷誠の理学療法 評価と治療の実際 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
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