ASLRテストによる骨盤荷重伝達の評価
Lee¹⁾は、骨盤荷重伝達に関して、ASLRテスト実施の際に骨盤帯に圧縮力を加える位置を様々に変化させる評価法を提案しています。
骨盤帯への圧縮方向のバリエーション
骨盤帯に圧縮力を加える方向には、以下5つのバリエーションが挙げられます。
【ASLRテストにおける骨盤帯への圧縮方向のバリエーション】 ①前上方圧迫 ②上方圧迫 ③後上方圧迫 ④下方圧迫 ⑤対角圧迫 |
①前上方圧迫¹⁾²⁾³⁾は、両側上前腸骨棘(ASIS)同士を近づける方向に圧迫をします(図1)。腹横筋の下部水平繊維と内腹斜筋および腹部前方の筋膜の作用を模倣している¹⁾と考えられています。下肢の自覚的な挙げやすさが変化すれば腹横筋や内腹斜筋の収縮低下が示唆³⁾されます。
図1 骨盤帯前上方圧迫のイメージ
②上方圧迫は、両側腸骨稜を上方へ圧迫をします(図2)。仙腸関節上方部の圧縮を目的に行います。下肢の自覚的な挙げやすさが変化すれば寛骨下方回旋マルアライメントによる影響が可能性として考えられます。
図2 骨盤帯上方圧迫のイメージ
③後上方圧迫¹⁾²⁾³⁾は、両側上後腸骨棘(PSIS)同士を近づける方向に圧迫をします(図3)。腰部多裂筋や胸腰筋膜の作用を模倣している¹⁾と考えられています。下肢の自覚的な挙げやすさが変化すれば多裂筋や胸腰筋膜の収縮低下が示唆³⁾されます。
図3 骨盤帯後上方圧迫のイメージ
④前下方圧迫¹⁾²⁾は、恥骨結合レベルの高さで前方から骨盤底を閉鎖する方向へ圧迫をします(図4)。腹横筋や内腹斜筋の最下部と共同する骨盤底前方部や骨盤壁側筋膜の作用を模倣している¹⁾と考えられています。
図4 骨盤帯前下方圧迫のイメージ
⑤対角圧迫²⁾は、右ASISと左PSISを近づける方向(またはその逆方向)に圧迫をします(図5)。臨床では骨盤帯の前方・後方回旋の左右差を正中化する(戻す)方向に圧迫することで下肢の自覚的な挙げやすさに変化がみられることがあります。
図5 骨盤帯対角圧迫(右ASISと左PSIS)のイメージ
評価手順
具体的な評価手順は、下記の通りです。
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