立位姿勢の理想的なアライメント
安静立位とは、自発的な身体動揺が少ない、姿勢を乱すような重力の影響が最小、筋活動やエネルギー消費が最小¹⁾であることが挙げられています。この安静立位(立位姿勢)における理想的なアライメントは、1889年にBrauneとFischerによって示されています。
以下は、矢状面および前額面における立位姿勢の理想的なアライメントになります(図1)。
図1 矢状面および前額面における立位姿勢の理想的なアライメント
矢状面の重心線は、耳垂、肩峰、大転子、膝関節前部(膝蓋骨後面:膝前後径の前1/3)、外果の2~3cm前部を通ります。
前額面の重心線は、外後頭隆起、椎骨棘突起、殿裂、両膝関節の内側の中心、両内果間の中心を通ります。
良い姿勢の判断基準
良い姿勢と悪い姿勢の判断基準は、どのような視点でみるかによって異なり、以下の5つの視点が挙げられています。
【良い姿勢と悪い姿勢の判断基準】¹⁾ 1.力学的視点:力学的に安定していること 2.生理学的視点:生理的に疲労しにくいこと 3.心理学的視点:心理的に安定していること 4.作業効率的視点:作業効率が良いこと 5.美学的視点:美的にみて美しいこと |
”良い姿勢”を目指すことが必ずしも症状やパフォーマンスの改善に繋がらないことは、セラピストが臨床で多く経験することだと思います。
しかし、ヒト本来の骨格構造(正常アライメント)を知っておくことや構造の左右差の比較は、問題点抽出のとても有用な判断材料となります。
今回のnoteでは、正常とされるアライメントを参考に、痛み・痺れなどの症状やパフォーマンス(動き)の改善を目的とする場合に、実際の臨床でどのような評価をしていくのかを次項以降でご紹介していきます。
頭部前方位の臨床評価
頭部のアライメントで最も評価する機会が多い一つに、頭部前方位姿勢Forward head posture(FHP)が挙げられます。
頭部前方位姿勢は、18歳以上の成人および高齢者において頸部痛との関連性²⁾が示されています。また、片頭痛痛³⁾や顎関節痛⁴⁾との関連性を報告する文献や書籍も見られます。
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