「蹴り出し脚」と「踏み出し脚」のみかたと捉え方
歩行において、下肢には蹴り出し脚と踏み出し脚という分け方があるのをご存知ですか。
そもそも人間の歩行は左右の動きが完全に対称となることはまずあり得ません。
左右下肢の役割の違いについては、以下のようにいくつか呼ばれ方があります。
【左右下肢の役割の違いをによる分類】 |
よく耳にする「利き足」の定義は、実は明確ではありません。
「利き足」は、「ボールを蹴る足」や「走り幅跳びでの踏み切り足」などと定義される場合もあり文献によって様々です。
(ちなみに「利き手」と「利き足(ボールを蹴る足)」は95%以上一致する²⁾⁴⁾との報告もあります。)
「ボールを蹴る足」をより器用に動く足として「機能脚」、「踏み切り足」をより体重を支持する足として「支持脚」とする定義もあり、この定義は比較的多くの文献で採用されています。
ここでは歩行に着目し、蹴り出し脚と踏み出し脚(故入谷誠先生が提唱)についてご紹介します。
蹴り出し脚は、下肢伸展相(または立脚相)が長くなります。また、以下のような動きが優位になります。
【蹴り出し脚の特徴】³⁾ 肩甲骨の前方回旋 骨盤の後方回旋 股関節の伸展・内旋 膝関節の伸展・外旋 足関節底屈 足部回内 |
蹴り出し脚は、立脚後期に身体重心を内方(反対側へ)移動させやすい特徴があります。
踏み出し脚は、下肢屈曲相(または遊脚相)が長くなります。また、以下のような動きが優位になります。
【踏み出し脚の特徴】³⁾ 肩甲骨の後方回旋 骨盤の前方回旋 股関節の屈曲・外旋 膝関節の屈曲・内旋 足関節背屈 足部回外 |
踏み出し脚は、遊脚後期〜立脚初期に身体重心が外方(同側へ)移動しやすい特徴があります。また歩行時には、蹴り出し脚に比べて、身体重心と下肢の接地位置がより遠位となる(関節モーメントが増大する)ため、膝関節痛を引き起こしやすいと言われています。
蹴り出し脚と踏み出し脚を歩行観察の中から判断するポイントは、骨盤の回旋差(水平面上の前方回旋と後方回旋)です。
遊脚期に骨盤の前方回旋が大きくなる方が踏み出し脚、立脚後期に骨盤の後方回旋が大きくなる方を蹴り出し脚と簡易的に判断します。
💡演習問題💡
Q.踏み出し脚は左右どちらの下肢でしょうか?
(答えを見る前に動画を見ておきましょう!)
https://youtu.be/2A-p7R02MeI
正解は・・・
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