
上腕二頭筋の機能解剖

上腕二頭筋は、長頭と短頭の2頭からなる筋です。
長頭は肩甲骨の関節上結節から起こり、短頭は肩甲骨の烏口突起から起こります。
停止部は主に橈骨粗面で、一部は上腕二頭筋腱膜を介して前腕筋膜へ広がります。
主な作用は、肘関節の屈曲と前腕の回外です。
肩関節に対しては、特に長頭が肩関節の屈曲を補助します。
支配神経は筋皮神経です。
上腕二頭筋長頭腱は、肩甲上腕関節外では、上腕骨の結節間溝内を走行し腱板とともに肩甲上腕関節の安定化に寄与しています¹⁾(図1)。

図1 結節間溝内を走行する上腕二頭筋長頭腱
上腕二頭筋長頭腱は、上方関節唇と関節上結節から起始し、肩甲上腕関節内を外側前方の結節間溝入口部に向かって走ります。関節内では折り返した関節包滑膜が腱鞘滑膜となり、包んで折り返します²⁾(図2)。

図2 上腕二頭筋長頭の起始
2)より画像引用
腱板疎部の機能解剖
腱板疎部は、上方が棘上筋、内側が烏口突起基部、前下方が肩甲下筋、外側が結節間溝で囲まれた領域です(図3)。

図3 腱板疎部
3)より画像引用
腱板疎部には、上腕二頭筋長頭腱(LHBT)とその安定機構としての二頭筋滑車(biceps pulley)が存在します。
二頭筋滑車(biceps pulley)は、LHBTを関節内で安定化させ内側脱臼を防いでいます。烏口上腕靭帯(CHL)と上関節包靭帯(SGHL)で構成されます(図4)。

図4 二頭筋滑車(biceps pulley)
2)より画像引用
烏口上腕靭帯(CHL)は烏口突起基部外側縁の広い範囲から起始し腱板疎部関節包の表面を内側から外側に向かって広がります。
CHLは内側下方に向かう細い内側烏口上腕靱帯(medial CHL)と外側上方に向かう太い外側烏口上腕靱帯(lateral CHL)に分かれます(図4)。
lateral CHLは腱板疎部の外側部でLHBTの外側上面を覆います。
CHLは肩甲下筋最頭側部を上腕骨に密着させるような形で付着しており上腕骨の肢位によって緊張を変えながら腱を上方へ吊り上げています(図5)。

図5 烏口上腕靭帯(CHL)と肩甲下筋付着部
4)より画像引用
上関節包靱帯(SGHL)は、LHBT起始部の前方から起始し腱板疎部の外側で烏口上腕靱帯とともに上腕二頭筋長頭腱の下面をU字状に取り囲み二頭筋滑車を形成します(図4)。
上腕二頭筋長頭腱の安定化機構
上腕二頭筋長頭腱の安定化機構には、biceps pulleyとreflection pulleyがあります(図6)。

図6 上腕二頭筋長頭腱の安定化機構
(1: LHBT(上腕二頭筋長頭腱)、2: 小結節、3: 肩甲下筋(SSC)腱、4: 大結節、5: 棘上筋(SSP)腱、6: 上関節上腕靭帯(SGHL)、7: 烏口上腕靭帯(CHL)、8: 上腕骨頭、9: 肩甲骨関節窩、10: 関節唇)
5)より画像引用
biceps pulleyは、肩甲下筋腱、棘上筋腱、烏口上腕靭帯で構成されます。
reflection pulleyは、上関節上腕靭帯と烏口上腕靭帯で構成されます。
ひとつの機能的な単位として複合的に働き、LHBTと肩関節の安定性を保つ役割を担います。
上腕二頭筋長頭腱は、上腕骨内旋位では前内側に位置し緊張が低下、外旋位では、骨頭の直上に位置し、適度に緊張することで骨頭を上方から押し付けます⁶⁾(図7)。

図7 回旋肢位の違いと上腕二頭筋長頭腱の機能