代表的な異常歩行というと、トレンデレンブルグ徴候やデュシェンヌ歩行(跛行)を挙げる理学療法士は多いのではないでしょうか。
デュシェンヌ歩行とは、立脚側へ体幹が傾斜し、かつ骨盤の傾斜を伴う歩行1)2) を言います。
これはご存じの方も多いと思いますが、そのデュシェンヌ歩行には実は3種類あります。
なかには、股関節への負荷が軽減され、有益な場合もあるんです。
それでは、さっそくですが、、、
ずばり!
デュシェンヌ歩行の3パターンはこれです!!
[st-mybox title="" fontawesome="" color="#757575" bordercolor="#ccc" bgcolor="#ffffff" borderwidth="2" borderradius="2" titleweight="bold" fontsize="" myclass="st-mybox-class" margin="25px 0 25px 0"] ①トレンデレンブルグ徴候を併発するパターン②体幹と骨盤が同程度に傾くパターン
③骨盤が遊脚側へ移動するパターン
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①トレンデレンブルグ徴候を併発するパターン
トレンデレンブルグ徴候を併発するパターン
トレンデレンブルグ徴候を併発するパターン腰椎下部(L5-S1)の側屈によって体幹が立脚側へ傾斜し、骨盤は遊脚側に沈み込みます。立脚側の股関節が内転することで、大腿骨頭が臼蓋に覆われる面積は狭くなり、股関節への負荷が増大します。運動の中心点は、腰仙移行部になります。このパターンでは、股関節外転筋力はうまく機能していません。また、腰仙移行部と股関節に過負荷がかかるため、歩容の改善が必要です。
②体幹と骨盤が同程度に傾くパターン
体幹と骨盤が同程度に傾くパターン
体幹と骨盤が同程度で傾き、股関節が外転します。そのため、大腿骨頭が臼蓋に覆われる面積は拡大し、股関節への負荷は軽減します。運動の中心点は股関節になります。このパターンでは、腰椎が安定しているため、腰椎下部へ過負荷がかかることはありません。
③骨盤が遊脚側へ移動するパターン
③骨盤が遊脚側へ移動するパターン
体幹は重心を中心に立脚側へ傾き、骨盤は遊脚側へ移動します。それにより、股関節は外転するため、大腿骨頭が臼蓋に覆われる面積は拡大し、股関節への負荷は軽減します。運動の中心点はおよそ胸腰移行部の高さになります。このパターンでは、体幹の立脚側への側屈を骨盤の移動が代償しているため、脊椎にかかる負荷は弱いです。
①のパターンでは、股関節および腰椎下部へ過負荷がかかるため、筋肉や歩容に対するアプローチが必須となります。
②、③のパターンでは、股関節への負荷や疼痛を避けるための代償動作である可能性があり、むやみやたらと修正してはいけません。
ですが、股関節外転筋の働きが弱まると、①のパターンに移行する可能性もあり、経過を追ってみるのが大事です。
いかがでしょうか?
代償歩行の全てが問題ではない
というのを頭の片隅に置いて、治療展開していきたいですね。
参考・引用文献
1)石井慎一郎:動作分析臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践. メジカルビュー社, 2013.
2)GÖTZ-NEUMANN, Kirsten, et al:観察による歩行分析. 月城慶一, 山本澄子, 盆子原秀三 (訳), 医学書院, 東京, 2005.
3)Antje Huter-Becker:整形外科における理学療法.株式会社ガイアブックス,2014.
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