その骨盤帯の歪み(マルアライメント)、何の組織によって引き起こされているか知りたくありませんか?
骨盤帯のズレ(非対称性)が腰痛の原因になりうる1)2)ことは、広く理解がされていることだと思います。
理学療法においても、治療の一環として、骨盤帯の正中化や修正を図ることがあります。
(もちろん、腰痛患者に対して骨盤がずれているからといって、何でもかんでも整えようとするのは危険です。)
痛みを感じている組織が何か(問診や触診)
どんなメカニカルストレスがあるのか(アライメント評価や動作観察)
などを評価した上で、
『どうやら骨盤帯のマルアライメントを修正する必要があるな』
と考えます。
この場面で例えば、
右の寛骨が左に比べて前傾位(矢状面における前方回旋)だけど、何が原因だろう?
と考えたことはありませんか。
今回は、そんな時に制限因子として考えられる筋と靱帯をご紹介します!
タイトネスが原因で寛骨を前傾させる筋および靱帯 はこちらです!
- 腸腰筋
- 恥骨筋
- 大腿筋膜張筋
- 縫工筋
- 中殿筋前部線維
- 小殿筋前部線維
- 大腿直筋
- 長・短内転筋
- 大内転筋(筋性部)
- 脊柱起立筋
- 腰部多裂筋
- 腸骨大腿靱帯
- 恥骨大腿靱帯
これらの組織は、
股関節屈曲(または股関節伸展制動)や体幹伸展に働くものです。
矢状面でみたときに、
股関節が屈曲すると、大腿骨は後傾(後方回旋)し、相対的に同側の寛骨は前傾しています。
体幹が伸展すると、脊柱は後傾(後方回旋)し、相対的に寛骨は前傾しています。
股関節屈曲および体幹伸展と寛骨前傾との相対関係
これはつまり、
寛骨と逆側の付着部(起始または停止)からその組織を引っぱった時に寛骨を前傾させるものは何かな?
と考えると、何が制限因子となるのかがわかるということです。
腸骨筋が寛骨を前傾させるイメージ図
この考え方は、骨盤帯の後傾(後方回旋)やインフレア、アウトフレアの制限因子においても、もちろん同じです。
そうやって考えると、何だか簡単に思えてきませんか?
筋肉で言えば、起始停止の知識さえあれば予測が立つのです。
予測が立てば、あとは各筋の短縮テストで調べるだけです!
制限因子がわかったらストレッチをしてみましょう。
ストレッチ後に骨盤帯のマルアライメントが改善しているはずです。
もちろん、それに伴う疼痛の緩和や消失があるかのチェックも忘れずに。
この過程が踏めてくると、臨床が楽しく感じられてきます。
いかがでしょうか?
今後、骨盤帯の後傾(後方回旋)、インフレア、アウトフレアの制限因子についてもまとめていきます。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)村上栄一:仙腸関節由来の腰痛.日本腰痛学会雑誌,2007,13.1,40-47.
2)SCHAMBERGER, Wolf:The Malalignment Syndrome ,Implications for Medicine and Sport.Elsevier Health Sciences,2012.
3)熊谷匡晃:股関節拘縮の評価と運動療法 第1版.株式会社運動と医学の出版社,2019.
4)林典雄:セラピストのための機能解剖学的ストレッチング,株式会社メディカルビュー社,2018.
5)A.I.KAPANDJI:カパンジー機能解剖学Ⅲ 原著第7版,医歯薬出版株式会社,2019.
6)John Gibbons:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ,株式会社医道の日本社,2019.
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