「力を抜いて下さい」ってよく患者さんに言ってませんか?
そうは言っても、なかなか力みが抜けないのが患者さんですよね。
そもそも患者さんは、力が入っているという自覚が無いことも、よくあります。
セラピストがROMex.やストレッチを行うときには、すごくやっかいです。
この「力み」は、筋緊張の異常(亢進)と考えられます。
筋緊張の異常には、
脳血管障害などの中枢神経系の異常によって引き起こされる痙縮や固縮であったり、
運動器疾患でよくみられる、疼痛に伴う防御性の筋緊張亢進
など様々です。
今回は、臨床場面で
”患者さんに無駄な力を抜いてもらう” ことをテーマに、
筋緊張に影響を及ぼす因子は何か
力みやすい患者にどう対処したら良いか
をまとめていきます。
それではさっそく、、、
まず、筋緊張に影響を及ぼす因子は、これらになります!
固有感覚制御
覚醒・注意・意識
フィードバック・フィードフォワード
視覚刺激・聴覚刺激
味覚・嗅覚
知覚・認知
精神症状・記憶
温度覚、痛覚
自律神経症状
支持面の状況
筋の粘弾性、速筋、遅筋
軟部組織の短縮
バイオメカニクス
加齢・成長・体重
性差
表現型
既往症
感情・情緒
その他
以上、1)より引用
たくさんありますよね。。。
実際には、これらの要素が混在して筋緊張の異常を起こしています。
この中で、理学療法を開始する前に、
患者さんの力みを抑制するために重要な要素が、
支持面の状況 です。
支持面とは、ヒトと外部環境との接触面 のことで
支持面が広ければ広いほど姿勢が安定し、筋の過緊張を抑制できます。
片足立ちをしているよりも、背臥位の方がリラックスできますよね?
当然だと思うかもしれませんが、これをしっかり意識して患者に触れているかが重要です。
例えば、背臥位の患者さんの下肢を操作するときに、
指先で持つよりも手掌面で、
片手で持つよりも両手で、
持つよりもセラピストの足にのせて、
行ったほうが、余計な力みを誘発せずにアプローチできます。
また、支持面自体の安定性も大事です。
例えば、ぐらぐらな橋の上で眠るよりも、ホテルのベッドで眠った方がリラックスして眠れますよね?
これはつまり、
セラピスト自身が安定した姿勢でアプローチしなければ、患者さんはリラックスできない
という事です。
これにはもちろん心理的な要因も影響します。
まとめますと・・・
理学療法を開始する前に、
広い支持面で患者さんに触れているか
自分の姿勢が無理なく安定しているか
この2点を意識してアプローチしてみましょう。
そうすると、患者さんが無意識に安心感を得られ、ふわっと緊張を解いてくれます。
初歩ではありますが、
理学療法士として大事な一歩ですよね。
もちろん、筋緊張を亢進させる原因が痛みや脳機能の異常である場合には、その根本原因へのアプローチも求められます。
この辺りについても、今後記事にしていきたいと思います。
理学療法は奥が深い。。。
参考・引用文献
1)斉藤秀幸,他:筋緊張に挑む 筋緊張を深く理解し,治療技術をアップする!.株式会社文光堂,2015.
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