上肢挙上動作の筋活動

上肢挙上動作の筋活動

屈曲60°までの筋活動¹⁾

屈曲60°までの挙上動作では、棘上筋が先行して働き三角筋前部繊維と烏口腕筋が作動します。大胸筋上部繊維および三角筋中部繊維および上腕二頭筋は補助筋として働きます(図1)。

図1 屈曲60°までの筋活動

屈曲60~120°までの筋活動¹⁾

屈曲60~120°までの挙上動作では、三角筋前部繊維と肩甲骨回旋運動が中心となります(図2)。この時、棘下筋、小円筋、肩甲下筋は骨頭を引き下げる役割をしています。烏口腕筋、上腕二頭筋は働かなくなるとされています。

図2 屈曲60~120°までの筋活動

屈曲120~180°までの筋活動¹⁾

屈曲120~180°までの挙上動作では、三角筋前部繊維と肩甲骨回旋運動のほかに脊柱筋の活動が加わります(図3)。特に胸椎伸展運動は上肢挙上運動に直接的に寄与します²⁾。

図3 屈曲120~180°までの筋活動

屈曲時の棘上筋モーメントアーム³⁾

下垂位での屈曲モーメントアームが大きく屈曲角度の増加に伴い漸減していきます(図4)。120°屈曲位でほとんど屈曲作用はなくなります。

屈曲時の三角筋モーメントアーム³⁾

三角筋前部・中部は屈曲モーメントアームを有し、どちらも屈曲角度の増加で増大します(前部>中部)(図5)。三角筋後部は伸展モーメントアームを有します。

屈曲時の大胸筋モーメントアーム³⁾

大胸筋上部・中部は、屈曲モーメントアームを有します。大胸筋上部は屈曲約70°で最大となり、大胸筋下部は屈曲約30°以上で伸展モーメントアームを有します(図6)。120°屈曲位でほとんど屈曲作用はなくなります。

図4 屈曲時の棘上筋モーメントアーム
3)よりグラフ引用

図5 屈曲時の三角筋モーメントアーム
3)よりグラフ引用

屈曲時の棘下筋・小円筋モーメントアーム³⁾

棘下筋上部は常に屈曲モーメントアームを有し、下部は屈曲0°~約80°は伸展モーメントアーム、屈曲約80°以上は屈曲モーメントアームを有します(図7)。
小円筋は下垂位では大きな伸展モーメントアームを有し、屈曲約110°で屈曲モーメントアームに変化します(図7)。

図6 屈曲時の大胸筋モーメントアーム
3)よりグラフ引用

図7 屈曲時の棘下筋・小円筋モーメントアーム
3)よりグラフ引用

屈曲時の肩甲下筋モーメントアーム³⁾

下垂位での屈曲モーメントアームが大きく、屈曲角度の増加に伴い漸減していきます(図8)。屈曲約80~110°以上で伸展モーメントに変化します。

図8 屈曲時の棘下筋・小円筋モーメントアーム
3)よりグラフ引用

外転90°までの筋活動¹⁾

外転90°までの挙上動作では、棘上筋が先行して働き、三角筋中部繊維と僧帽筋・前鋸筋の
共同作用により挙上できます(図9)。僧帽筋と前鋸筋は屈曲動作よりもよく作動し、60°まで肩甲下筋、棘下筋、小円筋は強く作用します。

図9 外転90°までの筋活動

外転90~150°までの筋活動¹⁾

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。 ログインは【こちら】. 新規会員登録は【こちら】