腰痛の原因をいくつ知っていますか?
『腰が痛いです』
の訴えの中には、約18種類の原因が考えられます。
では、その原因には何があるでしょうか。
さっそくですが、腰痛の原因となるのはこれらです!
・椎体
・接触脊椎
・椎弓板の嵌入
・脊椎分離症
・筋損傷
・筋スパズム
・筋不均衡
・トリガーポイント
・腸骨稜症候群
・コンパートメント症候群
・脂肪ヘルニア
・硬膜痛
・硬膜外叢
・棘間靭帯
・腸腰靭帯
・仙腸関節痛
・椎間関節痛
・椎間板内部損傷
1)より引用
これらの原因(組織)がある中で、
理学療法士が臨床で非特異的腰痛を診るときには、4つに分類して捉えると、多くの症例に対応することができます。
その4分類がこちらです。
・椎間板性
・椎間関節性
・筋筋膜性
・仙腸関節性
それぞれの特徴をしっかりと理解し、評価によってその原因を探っていきます。
以下、4分類のそれぞれの特徴と臨床でのポイントになります。
・椎間板性
椎間板の解剖
特徴
椎間板内圧の上昇によって増強するのが特徴です。くしゃみ、咳、前屈動作、骨盤後傾位での座位保持等で症状が強くなります。椎間板の修復にはおよそ2~3ヶ月を要します1)。
★臨床でのポイント★
椎間板内圧の上昇を防ぐために、骨盤前傾位による腰椎前弯の獲得、股関節屈曲可動域の獲得、ハムストリングスの伸長性改善を図ります。ローカル筋(インナー)による脊柱の安定化も大切です。
・椎間関節性
椎間関節の解剖
特徴
椎間関節は侵害受容器が豊富に存在する関節2)です。よって関節への過度なストレスによって炎症が生じ疼痛が出現します。腰椎の伸展、回旋動作、腰椎前弯の増強、骨盤前傾姿勢で疼痛が増強します。
★臨床でのポイント★
椎間関節への物理的な負荷を減らすために、骨盤を後傾させる腹横筋機能の改善、疼痛発生関節以外の胸椎・腰椎および胸郭可動性の獲得、股関節伸展可動域の改善、協調的な伸展動作練習が必要になります。
・筋筋膜性
脊柱起立筋および胸腰筋膜周囲の解剖
特徴
腰背部の筋肉や筋膜、または筋・筋膜の移行部や骨への付着部に過度なストレスが加わることで疼痛が生じます。ローカル筋(インナー)である腹横筋や腰部多裂筋の活動が不十分で、グローバル筋(アウター)である脊柱起立筋や外腹斜筋に過活動が生じたり、不良姿勢による脊柱起立筋の過度な遠心性収縮によって疼痛が生じると考えられています。
★臨床でのポイント★
慢性的な症状の場合は、疼痛部位に関わる皮下組織、筋膜、筋肉へのマッサージや滑走性を改善するリリーステクニックなどで即時的な疼痛の軽減が得られます。疼痛の軽減が得られたことから、筋筋膜性腰痛だという評価にも繋がります。ただし、根本原因となる不良姿勢や運動パターンを改善しなければ症状を繰り返すということもしっかりと念頭に入れておきたいです。
・仙腸関節性
仙腸関節の解剖
特徴
仙腸関節は侵害受容器が豊富に存在する関節3)です。患者に疼痛部位を聞いたときに、指一本で後上腸骨棘(PSIS)付近を指した場合(one finger test)は、そこに圧痛所見があれば仙腸関節性腰痛を強く疑うことができます。
★臨床でのポイント★
仙腸関節痛の評価方法や仙腸関節の安定性に関して、以下の記事を参考にしてみてください。
いかがでしょうか?
『非特異的腰痛ってどう診ていけばいいんだろう?』
と悩まれている理学療法士の参考となりましたら幸いです。
今回の内容は、臨床では非特異的腰痛を4つに分類して捉えて、その原因に応じて、だいたいこういうアプローチをしていきますよ、というひとつの目安です。
大事なのはこれを踏まえて、そのヒト個人をしっかり評価していくことです。(例えば、そのヒトの痛みにつながっているのはどんな生活スタイルだからかな?など)
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)金岡恒治:腰痛の病態別運動療法 体幹機能向上プログラム.株式会社文光堂.2016.
2)YAMASHITA, TOSHIHIKO, et al. Mechanosensitive afferent units in the lumbar facet joint. The Journal of bone and joint surgery. American volume, 1990, 72.6: 865-870.
3)SAKAMOTO, Naotoshi, et al. An electrophysiologic study of mechanoreceptors in the sacroiliac joint and adjacent tissues. Spine, 2001, 26.20: E468-E471.
forPTの限定noteが大好評販売中!
毎月新作noteをお届けする読み放題プラン(定期購読)がオススメです。
ブログ記事の先行公開(パスワードあり)はこちら⏬⏬
歩行分析サロンへの入会はこちら⏬⏬
症例の歩行動画を通して動作分析スキルを極めたい方にオススメです。