『痛くて腰が反れません』の訴えに対応できていますか?
前回の『前屈の運動学』に続き第2弾!!
『前屈の運動学』はこちら⏬⏬
今回は、『後屈の運動学』を解説していきます。
後屈で各関節や部位がどう動くのかは、腰痛の原因組織を臨床推論する上でとても大切な知識になります。
それではさっそく、、、
後屈の運動学1)
・後屈初期
・後屈初期~後屈最終域
後屈初期
骨盤帯が前方へシフトします。これと同時に左右の寛骨は大腿骨上で後傾(矢状面後方回旋)し始めます。
後屈初期~後屈最終域
第5腰椎が仙骨上で伸展するまで、胸椎および腰椎が伸展をし続けます。同時に、上後腸骨棘は尾側(下方)へ回旋していきます。仙骨は後屈運動を通してニューテーションの位置で留まります。
これを踏まえて、
臨床をみるうえで大事なポイントは、、、
・後屈運動を制限しうる組織は何かを考える
・仙骨はニューテーションの位置を保ち続けている
この2点に着目してみます。
例えば、大腿四頭筋の過緊張があると後屈運動はどうなるでしょうか?
本来、寛骨が左右対称に後傾するところが、大腿四頭筋による可動域制限を受けると後傾運動が十分にできずに、代償運動として仙骨のカウンターニューテーションが生じます。
すると、カウンターニューテーションを制御している長後仙腸靱帯への伸張ストレスが増加し、腰痛(仙腸関節痛)を引き起こします。(これは臨床でけっこう多い!!)
この場合は、
・疼痛側の下肢を屈曲位にする
(股関節を屈曲することで大腿四頭筋が弛緩)
・セラピストが徒手的に仙骨をニューテーション方向に制動する
これらの評価で疼痛の軽減や消失がみられることがあります。
仙骨のニューテーション制動は、片方の手で疼痛側の寛骨を把持し、もう片方の手で、仙骨上部を軽く押さえることで評価できます。
仙骨ニューテーション制動による評価のイメージ図
上記の評価で疼痛の軽減や消失がみられた場合には、大腿四頭筋のストレッチを行って疼痛の改善があるか再評価してみましょう。(ストレッチ中に寛骨前傾を強めて疼痛増強させないように注意!)
いかがでしょうか?
今回は、後屈の運動学に加えて、臨床でよく遭遇する後屈時痛(仙腸関節痛)の評価例をご紹介しました。
伸展時痛では、胸椎可動性低下や腹筋群の弱下に伴う椎間関節性のものも多いです。この辺も今後ご紹介できればと思います。
臨床での参考になりますと幸いです。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)John Gibbons:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ,株式会社医道の日本社,2019.
2)A.I.KAPANDJI:カパンジー機能解剖学Ⅲ 原著第7版,医歯薬出版株式会社,2019.
3)齋藤昭彦:腰椎・骨盤領域の臨床解剖学 原著 第4版-腰痛の評価・治療の科学的根拠-.エルゼビア・ジャパン株式会社,2008.
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