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下肢アライメント指標
正常下肢アライメントの指標として、大腿脛骨角または膝外側角（femorotibial angle；以下FTA）と下肢機能軸またはMikulicz線があります。
FTA
FTAとは、膝伸展位で正面から見た大腿骨と脛骨骨幹部の長軸のなす角¹⁾をいいます（図１）。詳細には、大腿骨顆間窩中心と近位10cmの髄腔中心を結ぶ線と脛骨内顆面から3cmおよび10cm遠位の髄腔中心を結ぶ線とのなす角度²⁾とされています。
図１ FTA
２）より画像引用
正常膝のFTAは約172〜176°¹⁾³⁾と外反アライメントを呈しています。FTAは180°以上で内側型（O脚）、170°以下で外側型（X脚）と定義¹⁾されます。
高位脛骨骨切り術後のFTAは、170°から175°程度に矯正するのが効果的である⁴⁾⁵⁾⁶⁾とされています。一方で、Mikulicz線を指標にするべきとの見解⁴⁾もあります。
Mikulicz線
Mikulicz線とは、股関節中心と足関節中心を結ぶ線³⁾をいいます（図２）。立位時の下肢荷重線を表すもの¹⁾とされています。
図２ Mikulicz線
４）より画像引用
Mikulicz線は、正常膝では膝中心よりもやや外側を通る¹⁾³⁾とされています。内側型変形性膝関節症の下肢アライメントでは、膝関節は内反しMikulicz線は膝中心より内側を通ります³⁾。
正常膝では、Mikulicz線と床面への垂線がなす角度は約3°⁷⁾⁸⁾と考えられています（図３）。
図３ Mikulicz線と床面への垂線がなす角度（θ）
７）より画像引用
Mikulicz線が脛骨関節通過部位を表現するのに、％Mikulicz（％M値¹⁷⁾または％MA²⁾）があります。
％Mikuliczは、脛骨高原最内側点からのMikulicz lineの通過位置を基準として算出されます（図４）。
図４ ％Mikulicz
４）より画像引用
高位脛骨骨切り術後に、Mikulicz線が外側関節面中1/3を通過する群において、最も安定した治療成績が得られた⁴⁾との報告があります。
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参考・引用文献一覧
１）浅野茂信, 江角務, and 蜂谷将史. "光弾性法を用いた変形性膝関節症の力学特性に関する研究." 非破壊検査 53.9 (2004): 566-571.
２）松下任彦, et al. "Mikulicz line と FTA の関係―OA の要因―." 整形外科と災害外科 66.2 (2017): 262-266.
３）吉村理, et al. "関節の機能障害 (1)「変形性膝関節症」." 日本義肢装具学会誌 13.2 (1997): 151-156.
４）井上雅之, 長谷川徹, and 渡辺良. "高位脛骨骨切り術における骨切り角度の評価 大腿脛骨角と下肢機能軸 (Mikulicz 線) との比較." 中国・四国整形外科学会雑誌 6.1 (1994): 31-35.
５）安藤俊行, et al. "内反型変形性膝関節症に対するドーム型高位けい骨骨切り術の方法とその成績." 整形外科と災害外科 36.4 (1988): 1142-1150.
６）王享弘, et al. "内皮型変形性膝関節症に対する高位けい骨々切り術の問題点." 整形外科と災害外科 36.4 (1988): 1199-1204.
７）羽場俊広, et al. "身体運動時の下肢機能軸の変化に関する文献調査." 青森保健医療福祉研究 2.1 (2020): 13-19.
８）Krackow, K. A. "Approaches to planning lower extremity alignment for total knee arthroplasty and osteotomy about the knee." Adv Orthop Surg 7 (1983): 69-88.