前屈にはカラダの情報がたくさん詰まっています。
臨床では、どういった場面で前屈を評価するでしょうか?
わかりやすいところで言うと、腰痛が挙げられると思います。
『中腰で作業してたら腰が痛くなっちゃって』
『物を拾う時に腰が痛いんです』
『ぎっくり腰になっちゃって腰を曲げられないんです』
こういった訴えがある方には、前屈の評価をしませんか?
(もししていなかったらぜひしてみましょう!)
今回は、腰痛評価をするうえで大切な、
前屈動作はそもそもどんな運動なのか
を整理したいと思います。
このメカニズムを知ることで、単に「前屈で痛いなら原因はこれかな?」と予測できるだけではなく、
『前屈のはじめが痛いです』
『前屈の途中が痛いんです』
『前屈の最後だけ痛いんです』
『前屈からの戻りが痛いんです』
これらのタイミングの違いに対して、どこの組織の問題かを推論できるようになります。
それでは、さっそく、、、
相に分けて前屈運動について説明していきます。
前屈の運動学
・前屈初期~前屈最終域
・前屈最終域
・前屈最終域~直立位
前屈初期~前屈最終域
前屈開始直後は、骨盤帯が後方へシフトします。この時、仙骨はニューテーションの位置にあります。
そこから、左右の寛骨が大腿骨上で前傾(矢状面)し、腰椎が仙骨上で屈曲するにつれて、上後腸骨棘は頭側(上方)へ動いていきます。
体幹の屈曲につれて、仙結節靭帯、大腿二頭筋、胸腰筋膜の緊張が高まり、仙骨のニューテーションが終了します。ニューテーション終了後も、寛骨は前傾を続けるため、相対的にカウンターニューテーションが起こってきます。
前屈最終域
体幹の最終屈曲位では、仙結節靭帯、大腿二頭筋、胸腰筋膜の緊張が高まり、特にハムストリングスの緊張が増大するため、仙骨はカウンターニューテーションの位置にあると考えられています。
前屈最終域~直立位
前屈最終域から直立位に戻るまでの過程では、仙骨はニューテーションの位置を保ったまま、体幹は伸展、左右の寛骨は後傾していきます。
いかがでしょうか?
今回の知識に加えて、仙腸関節の運動学とそれを制御する靭帯・筋肉を知っておくことで、臨床場面で多くの腰痛に対応できるようになります。
仙腸関節の運動学や制御する組織に関しては、他の記事も参考にしてみてください。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)John Gibbons:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ,株式会社医道の日本社,2019.
2)A.I.KAPANDJI:カパンジー機能解剖学Ⅲ 原著第7版,医歯薬出版株式会社,2019.
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