肩関節の理学療法まとめ②〜大結節通路、制限因子〜

肩関節屈曲と外転の動作時痛に関する特徴の違い

肩関節屈曲と外転の動作時痛では、それぞれの特徴や原因の違いを押さえておきましょう。

具体的には、大結節の通路制限因子の違いに着目します。

大結節の通路の違い

大結節の通路は、肩関節屈曲ではanterior path(前方路)、外転ではposterior-lateral path(後外側路)を通ります(図1、2、3)。

図1 大結節の移動領域
1)を参考に作成
Courtesy of Visible Body

大結節の領域
E(External rotation position):上腕骨下垂かつ外旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側(外転運動軌道)
N(Neutral position):上腕骨下垂位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側
I(Internal rotation position):上腕骨下垂かつ内旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側(屈曲運動軌道)
ER:上腕骨外旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下
NR:上腕骨中間位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下
IR:上腕骨内旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下
P(post-rotational glide):屈曲外転最終域で肩峰や烏口肩峰靱帯の内側

図2 大結節の通路①
Courtesy of Visible Body

図3 大結節の通路②
Courtesy of Visible Body

大結節の通路
postero-lateral path
(E ↔ P):後外側路
neutral path(N ↔ P):中間路
anterior path(I ↔ P):前方路
pre-rotational glide:大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯の外側の領域(0°~60°)
rotational glide:大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯の直下の領域(60°~120°)
post-rotational glide:大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯より内側の領域(120°~)

肩峰下インピンジメントはrotational glide(60〜120°)の範囲で生じます(図3参照)。外転運動において一定の範囲だけ(60〜120°)で疼痛を訴える現象はペインフルアークサインと呼ばれます。

大結節の通路を知っておくと、肩峰下腔のどの領域でインピンジメントが生じているのか予測を立てることができます。

肩関節インピンジメントを生じているのが、前方(屈曲)後外側(外転)かの鑑別には、Hawkins test(ホーキンステスト)Neer test(ニアーテスト)が有用です。

制限因子の違い

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