肩関節の理学療法まとめ①〜肩関節屈曲・外転に作用する筋肉、上半身運動連鎖〜

肩関節屈曲動作に作用する筋肉

肩関節屈曲動作の主動作筋と拮抗筋は以下になります(図1)。

【肩関節屈曲動作の主動作筋】¹⁾²⁾³⁾
・三角筋前部繊維
・棘上筋
・大胸筋鎖骨部
・(烏口腕筋)
・(上腕二頭筋長頭)
【肩関節屈曲動作の拮抗筋】¹⁾²⁾³⁾
・三角筋後部繊維
・大円筋
・広背筋

図1 肩関節屈曲動作に関与する筋肉
 (三角筋、棘上筋、大胸筋鎖骨部、上腕二頭筋、烏口腕筋、大円筋、広背筋を記載)

肩関節屈曲0°〜50-60°では、烏口上腕靱帯、小円筋、大円筋、棘下筋が制限因子¹⁾として挙げられています。

肩関節屈曲60°〜120°では、肩甲帯の上方回旋の運動が大きくなり、僧帽筋や前鋸筋が活動します。

肩関節屈曲120°〜180°では、三角筋、僧帽筋下部繊維、前鋸筋の筋活動により運動が持続されます。

肩関節屈曲動作では、三角筋と棘上筋が主動作筋として挙げられます。屈曲初期では棘上筋の筋活動が大きく、屈曲角度が増大するのに伴い三角筋の筋活動が大きくなっていきます。棘上筋の筋活動は徐々に小さくなり約120°〜では屈曲作用はなくなる²⁾とされています。

🗒MEMO 肩関節の運動時痛に対するちょっとした評価ポイント

肩関節の運動時痛では、どの角度で痛みが生じるのかに着目することで、その角度における主動作筋は何か、筋機能不全はないか、制限因子となる組織は何かなど、臨床推論がしやすく問題点の抽出に役立ちます。

肩関節外転動作に作用する筋肉

肩関節外転動作の主動作筋と拮抗筋は以下になります(図2)。

【肩関節外転動作の主動作筋】¹⁾²⁾³⁾
・三角筋中部繊維
・棘上筋
【肩関節外転動作の拮抗筋】¹⁾²⁾³⁾
・大円筋
・広背筋
・大胸筋

図2 肩関節外転動作に関与する筋肉
 (三角筋、棘上筋、大胸筋、大円筋、広背筋を記載)

肩関節外転0°〜90°では、三角筋中部繊維と棘上筋が動力筋¹⁾²⁾になります。

肩関節外転90°〜150°では、肩甲帯の上方回旋の運動が大きくなり、僧帽筋や前鋸が活動します。また、広背筋や大胸筋による制限を受けることがあります。

肩関節外転150°〜180°では、外転筋群に加えて脊柱起立筋の作用による体幹伸展¹⁾が必要とされています。

肩関節屈曲動作の上半身運動連鎖

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