骨盤荷重伝達障害の評価とアプローチまとめ③〜腹臥位股関節伸展運動(PHE)の機能解剖学的調査〜

腹臥位股関節伸展運動(PHE)の機能解剖学的調査

腹臥位で膝関節伸展 0 °位の一側下肢伸展挙上動作(Prone Hip Extension:以下PHE)について機能解剖学的調査をご紹介します。

PHEにおける下肢・体幹筋の運動パターン

Kamelら¹⁾は、2021年のシステマティックレビューでPHEにおける下肢・体幹筋の筋活動順序について報告しています。

PHEにおける正常パターンでは、ハムストリングスと同側および対側脊柱起立筋は早期にほぼ同時に活動し、大殿筋は一貫して遅れて活動します(図1)。

図1 PHEにおける下肢・体幹正常筋活動パターン
1)を参考に画像作成

腰痛患者で健常者と比較して腰部動作に異常を示した人は、対側脊柱起立筋の活動開始が遅れ大殿筋は著しく遅れます(図2)。

図2 腰痛患者のPHEにおける下肢・体幹正常筋活動パターン
1)を参考に画像作成

また、足関節捻挫による障害を持つ人は健常者と比較して、PHEにおける大殿筋の活動開始が遅れる²⁾とも報告されています。大殿筋の活動性低下は腰部・骨盤帯と股関節間の連動性を弱めると考察されています。

PHEと歩行の関係

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