臨床における胸郭のアライメント評価や機能評価についてご紹介します。
胸骨および胸郭アライメント評価(前額面)
【胸骨側方傾斜の臨床評価】
胸骨の側方傾斜を評価します。対象者の正面に位置し、胸骨の頸切痕と剣状突起に触れて前額面上の位置関係を観察します(図1)。目的に応じて、背臥位、座位、立位で評価します。
図1 胸骨の側方傾斜のアライメント評価(触診位置記載)
【胸郭側方偏位の臨床評価】
胸郭の側方偏位を評価します。対象者の正面から立位姿勢を観察します。骨盤幅の垂直二等分線に対する胸郭幅の垂直二等分線の位置関係を観察します(図2)。
図2 胸郭の側方偏位のアライメント評価(前額面)
胸郭の左側方偏位に伴い胸骨右傾斜を呈する例が多い¹⁾²⁾と言われています(図3)。
図3 胸郭左側方偏位を伴い胸骨右傾斜の例
胸骨右傾斜に関連する筋群²⁾として、右側前胸部筋群、右側腹部前面筋群、左側肩甲骨上部筋群が挙げられています。
実際の臨床においても、胸骨右傾斜で右側大胸筋鎖骨部の過緊張が触察されることが多いです。
大胸筋の短縮テスト
対象者は背臥位とし、肩関節水平外転の可動域とend feel(大胸筋の緊張状態)を評価します。
肩関節外転150°位での水平外転は肋骨部(下部)、肩関節外転90°位での水平外転は胸骨部(中部)、肩関節外転60°位での水平外転は鎖骨部繊維(上部)および小胸筋の伸長³⁾を反映しています。
実際の臨床では、胸骨傾斜側と同側の大胸筋(胸骨右傾斜の場合に右大胸筋)に過緊張や短縮がないか評価してみましょう。
🎥大胸筋の短縮テスト
https://www.youtube.com/watch?v=lpVE0l9-VjQ