【拘縮シリーズの最新作】膝関節拘縮の評価と運動療法は買うべきか?

「膝が痛いんです」に出会わない理学療法士はゼロです。

それぐらい膝関節痛は、どの世代、どの競技、どの疾患でも抱えうる症状です。

さて今回、理学療法士に大人気運動と医学の出版社から、“股関節拘縮の評価と運動療法”に続き、

“膝関節の拘縮と評価と運動療法”

が出版されました。
(2020/2/7現在は出版社ホームページからのみから購入可能)

この本を読んだ感想を一言で言いますと、、、

「膝の症状はこれで一通り対応できるな」

です。

というのも、他の理学療法に関する専門書や講習会で述べられているような、膝関節に関する理学療法評価や治療は概ね網羅できており、すごく上手くまとめられています

 

以下、本書の目次になります。

第1章 関節拘縮の基礎知識
 1. 拘縮とは
 2. 病変部位による分類
 3. 拘縮に対する運動療法のコツ
 4. 拘縮と運動療法の注意点
第2章 膝関節の機能解剖
 1. 膝関節可動域
 2. 関節構造
 3. 運動学・バイオメカニクス
 4. 下肢のアライメント
 5. 筋
 6. 靭帯および支帯
 7. 半月板
 8. 関節包
 9. 脂肪体
第3章 腫脹・浮腫管理の重要性
 1. 炎症・浮腫・腫脹・癒着について
 2. アイシングについて
 3. 皮膚の癒着、皮下の滑走について
 4. 腫脹・浮腫管理の実際
第4章 膝関節屈曲制限の評価と治療
 1. 膝関節屈曲制限の考え方
 2. 膝関節屈曲制限のデメリット
 3. 皮膚・皮下組織に対する評価と治療
 4. 筋の評価と治療
 5. 内側側副靭帯の評価と治療
 6. 膝蓋支帯の評価と治療
 7. 膝蓋上嚢の評価と治療
 8. 脂肪体の評価と治療
 9. 膝窩部痛(後方インピンジメント)の評価と治療
 10. 屈曲可動域に難渋する角度
第5章 膝関節伸展制限の評価と治療
 1. 膝関節伸展制限の考え方
 2. 膝関節伸展制限のデメリット
 3. 膝関節伸展可動域の計測方法
 4. 皮膚・皮下組織に対する評価と治療
 5. 筋の評価と治療
 6. 靭帯の評価と治療
 7. 後方関節包の評価と治療
 8. 半月板前方impingementの評価と治療
 9. 膝関節伸展に伴う膝窩部痛についての解釈
第6章 症例提示
 症例1 70代 男性 脛骨高原骨折後の膝関節拘縮
 症例2 10代 男性 大腿部外傷後の膝関節拘縮
 症例3 30代 男性 膝蓋骨骨折後の膝関節拘縮
 症例4 30代 女性 膝蓋骨再骨折後の膝関節拘縮
 症例5 30代 男性 顆間隆起剥離骨折後の膝関節拘縮
 症例6 30代 男性 大腿骨外顆粉砕骨折後の膝関節拘縮
 症例7 70代 女性 人口膝関節置換術後の膝関節拘縮
 症例8 30代 男性 色素性絨毛結節性滑膜炎による膝関節拘縮
 症例9 40代 男性 膝蓋靭帯断裂後の膝関節拘縮
 症例10 10代 男性 大腿骨遠位骨端線損傷後の膝関節拘縮

以上、運動と医学の出版社商品購入ページから引用

目次を見てもわかるとおり、

膝関節の筋肉や靱帯だけではなく、皮膚、半月板、脂肪体、上嚢、関節包・・・

と膝にある組織のことはだいたい書いてあります。

私がこの本を読んでいいなと思った点は、

 

①半月板の評価・治療がわかる
②膝窩痛の評価・治療がわかる
③膝関節の屈曲角度に応じた問題点がわかる

 

これらになります。

①②の半月板、膝窩痛については、案外他の書籍に載っていないのです。
(だから私も膝窩部痛の記事を書いたんです!笑⇒膝窩部痛は何が痛いの?)

③については、第4章で膝関節屈曲90°と130°の壁をそれぞれどう越えるかがテーマとなって記載されており、面白いです。

運動と医学の出版社からのまわし者と思われてはいけないので、悪いと思った点も述べます。

 

①最新の知見はない
②索引がない

 

①について、“股関節拘縮の評価と運動療法”の記事でも述べましたが、この拘縮シリーズは現状の理学療法における総集編であり、新たな知見は載っていません。

②については、勝手に運動と医学の出版社あるあるだと思っているのですが、索引が無くて、ワードからの検索が出来ない不便さがあります。第2版とかが発売されるようになると追加されるのでしょうか・・・。

ここまで、“膝関節の拘縮と評価と運動療法”の良い点と悪い点を述べてきましたが、タイトルにある買うべきかの結論を言いますと・・・

 

膝関節治療をこれから学びたいヒトは買うべき!

 

です。

逆に、熟練した理学療法士には既存の知識でありわざわざ購入する必要は無いと思います。

最後に、少し話が飛躍しますが、、、

膝関節の症状を改善させたからといって、その人の問題を解決したと思ってはいけない

ことを頭の片隅にしっかり置いときたいものです。

膝関節はあくまで足関節や股関節の繋ぎめであり、その先から来る問題の結果として症状が現れる場合がほとんどです。

根本となる原因を、運動パターンや運動連鎖の視点を持って全身的に評価・治療するのが、ワンランク上の理学療法ではないでしょうか?


膝関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)

 

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