股関節骨頭求心位の重要性
股関節では、寛骨臼に対して大腿骨頭が求心位を保った状態で活動・機能することが重要です。
臼蓋形成不全やFAI、アライメント異常などの構造的問題、股関節周囲の軟部組織の滑走性低下や可動性低下、筋活動不均衡などによって引き起こされる機能的問題は、ときに股関節不安定性を引き起こし、求心位から逸脱させる要因となります(図1)。
図1 安定した関節と不安定な関節
1)より画像引用
例えば、股関節後方に硬さが存在すると、寛骨臼に対して、大腿骨頭が前方偏位しインピンジメントを生じます²⁾。このインピンジメントは股関節内または周囲の特定部位に過剰なメカニカルストレスをかけて、股関節痛を生じる要因となります。
つまり、あらゆる動作場面で寛骨臼に対して大腿骨頭が求心位を保った状態で股関節が機能することは、股関節痛を予防したり改善するためには需要な要素の一つといえます。
臼蓋形成不全と股関節痛
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臼蓋形成不全とは、大腿骨頭に対する臼蓋(寛骨臼)の被覆が浅い状態をいいます。
日本では、臼蓋形成不全の診断基準は、CE 角 20°以下,Sharp 角 45°以上,ARO 15°以上の値が広く用いられています³⁾。
臼蓋形成不全を伴う2次性の股関節症の多くは、骨盤を前傾させる代償によって大腿骨に対する寛骨臼蓋の被覆を増すことで股関節を安定させます⁴⁾。
股関節の不安定性を有する例では、姿勢や動作場面で骨盤のアライメントを変化させることで、関節面の接触面積を増やそうとする代償をします。
例えば、デュシェンヌ徴候は、歩行時に股関節面の接地面積を増やして適合性を高めることで、股関節外転筋力の低下を補う代償の一つと考えられています。