頸部痛の理学療法まとめ②〜頸椎の可動域、カップルドモーション、上半身質量中心および座圧中心と頸椎アライメントの関連性〜

頸椎の可動域

頸椎は7つ存在し(図1)、C0〜C2を上位頸椎、C3〜C7を下位頸椎と呼びます。

図1 頸椎のイラスト

頸部の運動には、屈曲・伸展、側屈、回旋があり、上位胸椎(T1〜T4)とも協調して動きます。

頸椎の可動域は、各椎間関節間で異なります(図2)。

図2 脊柱の各椎間関節間の可動域
(CERVICAL:頸椎、THORACIC:胸椎、LUMBAR:腰椎、Combined flexion/extention:複合屈曲/伸展、One side lateral bending:片側側屈、One side axial rotation:片側軸回旋)
1)より画像引用

頸椎の屈曲・伸展は、C0〜C2およびC4〜C6で比較的可動域が大きいです。特に矢状面の運動はC4〜C5、C5〜C6で大きな角度変化が生じることが多く、頸椎障害の発生頻度も多い傾向にあります。

頸椎の側屈は、下位頸椎の可動域が比較的大きいです。

頸椎の回旋は、C1〜C2(環軸関節)の可動域が大きく寄与します。軸回旋運動の約50%〜60%は環軸関節複合体が担う²⁾とされています。

頸椎伸展運動の順序と評価(動作分析)

頸椎の伸展は通常C4〜C7から動き出し、次にC2〜C4とC0〜C2が動き、最後にC0〜C2が最大に伸展します³⁾⁴⁾。下位頸椎⇨上位頸椎の順序となっています。頸部の伸展時痛では、この運動順序が保たれているのか、下位頸椎と上位頸椎のどちらの制限があるのかを評価できるとよいでしょう。

頸椎のカップルドモーション

カップルドモーションとは、ある運動に随伴して生じる異なる方向への運動のこと¹⁾⁵⁾です。

脊柱の運動(カップルドモーション)では、側屈時に回旋を、回旋時に側屈を伴います。

頸椎の運動では、側屈時に上位頸椎は反対側へ回旋し、下位頸椎は同側へ回旋します(図3)。回旋時に上位頸椎は反対側へ側屈し、下位頸椎は同側へ側屈します(図4)。

図3 頸椎の左側屈時のカップルドモーション
5)より画像引用

図4 頸椎の左回旋時のカップルドモーション
5)より画像引用

上位頸椎の反対側への側屈や回旋は、翼状靱帯の牽引⁶⁾によって引き起こされています。

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