肩関節の徒手検査法まとめ①〜感度・特異度、上腕二頭筋長頭腱・腱板の疼痛誘発テスト〜

感度・特異度とは

感度とは、検査で正しく陽性と判断される割合を言います。感度が高いということは「陽性の者を陽性と正しく判定する可能性が高い」ということになります¹⁾。これはつまり、感度が高い検査における陰性は、その可能性を強く否定できることになります(除外診断)

特異度とは、検査で正しく陰性と判断される割合を言います。特異度が高いということは「陰性の者を陰性と正しく判定する可能性が高い」ということになります²⁾。これはつまり、特異度が高い検査における陽性は、その可能性を強く肯定できることになります(確定診断)。

感度、特異度はともに0~1.00(0~100%)で表記されます。
感度と特異度の両方が高い検査は、陽性、陰性の結果の信頼性が高いと考えられます。

各検査の感度および特異度は数値のみを記載しています。検査結果をより正しく理解するには『引用』に記載の論文まで読むことをオススメします。

上腕二頭筋長頭腱の疼痛誘発テスト

 Speed test(スピードテスト)

スライド1

【検査手技】
被験者は肩関節屈曲90°、肘関節伸展、前腕回外位とします。
検者は片方の手で肩関節部を上方から固定し、もう片方は前腕遠位部を把持して肩関節屈曲抵抗運動を行います。
【判定】
結節間溝部の上腕二頭筋長頭腱に疼痛が生じれば陽性です。
【結果の解釈】
上腕二頭筋の収縮時痛を誘発しています。
結節間溝部より近位の関節内付近で疼痛を訴える場合はSLAP損傷の可能性も考慮します(同様の手順でSLAP損傷に対する徒手検査を行うbiceps tension testもあります)。
【臨床応用のポイント】
両上肢同時に検査する方法が推奨されています³⁾。疼痛の有無の聴取と同時に、自覚的な力の入りやすさや筋出力の左右差も比較してみましょう。また、肩関節内旋位では疼痛が誘発されないのも評価で大事なポイントになります。
【感度・特異度】⁴⁾
感度:0.32
特異度:0.75

4)Holtby, R., Razmjou, H. (2004). Accuracy of the Speed's and Yergason's test in detecting bicpes pathology and SLAP lesions: comparison with arthroscopic findings. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, 20(3), 231-236

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