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仙腸関節の理学療法まとめ⑤〜仙腸関節障害の理学療法評価Ⅱ〜

仙腸関節障害の理学療法評価Ⅱ

股関節伸展運動を用いた仙腸関節の安定性機能評価

大殿筋と対側の広背筋には、筋膜連結があります。

例えば、左側の大殿筋は、胸腰筋膜後葉の浅層を介して右側の広背筋と繋がっています(下図参照)。

画像8

大殿筋と対側の広背筋の筋膜連結
1)より画像引用一部改変

そして、大殿筋と対側の広背筋の筋膜連結が正常に働くと、仙腸関節の閉鎖力が保たれます

画像9

大殿筋と同側の広背筋の筋膜連鎖(後斜走系)による仙腸関節の閉鎖力

逆を言えば、この連結が正常に作動しないと、仙腸関節の閉鎖力は失われ、仙腸関節の不安定性に繋がるということです。

この仙腸関節の閉鎖力(安定性)は、腹臥位での股関節伸展で機能評価することができます。

具体的な評価手順²⁾は以下の通りです。

画像11

股関節伸展運動を用いた仙腸関節の機能評価のイメージ

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aSLRを用いた体幹筋機能評価

active SLR test(以下 aSLR)とは、背臥位で下肢伸展挙上を自動運動で行う検査です。

今回の体幹機能評価を目的とするactive SLR testは、20°程度の挙上で十分です。

具体的な評価手順³⁾は、下記の通りです。

①active SLRを片足ずつゆっくり行う
②両側の上前腸骨棘(ASIS)を圧迫し、もう一度active SLRを行う
③両側の上後腸骨棘(PSIS)を圧迫し、もう一度active SLRを行う

①active SLRを片足ずつゆっくり行う
検査者は、骨盤の代償運動(後傾や後方回旋)がなく股関節の屈曲運動のみでしっかり出来ているか、左右差があるかをよく観察します。骨盤の代償がみられる場合は、体幹の機能低下(腰椎骨盤の安定性低下)が疑われます(下図)。また、踵が床から離れるときの重さの主観的な左右差を聴取します。

②両側の上前腸骨棘(ASIS)を圧迫し、もう一度active SLRを行う
徒手で両側のASISを中枢方向へ圧迫を加え、下肢の自覚的な挙げやすさを聴取します。挙げやすくなれば、腹横筋内腹斜筋の収縮低下が問題として挙げられます。②では両側のASISを圧迫することで、腹横筋および内腹斜筋の働きを補助しています。

③両側の上後腸骨棘(PSIS)を圧迫し、もう一度active SLRを行う
徒手で両側のPSISを中枢方向へ圧迫を加え、下肢の自覚的な挙げやすさを聴取します。挙げやすくなれば、多裂筋胸腰筋膜の収縮低下が問題として挙げられます。③では両側のPSISを圧迫することで、多裂筋や胸腰筋膜の働きを補助しています。

画像17

actitive SLRでみられる骨盤後傾代償の例

この評価により、

体幹機能に問題はあるのか
問題があるのは左右どちらか
問題となる体幹筋は何か

をある程度判断することが出来ます。

問題となる筋肉がわかれば、筋力トレーニングや動作練習などの治療展開も自ずとみえてきます。

注意が必要なのは、active SLR testで評価できるのは、腰椎骨盤の安定性であり、体幹機能の一部だということです。

もちろん、体幹機能を網羅できるものではないので解釈には注意しましょう。

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