動作分析は理学療法士の専売特許!! ではありますが、、、
正直、苦手意識はありませんか?
私もまだまだそのうちの一人・・・
動作分析が苦手なセラピストの悩みといえば、
[st-minihukidashi fontawesome="" fontsize="" fontweight="" bgcolor="#f3f3f3" color="#000000" margin="0 0 20px 0" radius="" position="" myclass="" add_boxstyle=""]そもそもどこをみたらいいかわからない[/st-minihukidashi]
[st-minihukidashi fontawesome="" fontsize="" fontweight="" bgcolor="#f3f3f3" color="#000000" margin="0 0 20px 0" radius="" position="" myclass="" add_boxstyle=""]動作をみても問題点が挙げられない[/st-minihukidashi]
[st-minihukidashi fontawesome="" fontsize="" fontweight="" bgcolor="#f3f3f3" color="#000000" margin="0 0 20px 0" radius="" position="" myclass="" add_boxstyle=""]問題点を見つけてもどう改善したらいいかわからない [/st-minihukidashi]
きっとこの辺りではないでしょうか?
動作分析は経験がものをいうとも言いますが、
あなたが改善したいのは今、担当している患者様の動作ですよね?
そんな動作分析への悩みを抱えている方にとっては、かなり頼もしい新刊がメジカルビュー社から出版されました。
🔻それがこちらです🔻
タイトルの通り、特に脳卒中リハビリに携わっているセラピストにとってはありがたい本です。
今回は、この書籍を実際に読んでみた感想やレビューをしていきます。
書籍の購入を検討されている方のいち参考となれたらと思います!
[toc]
書籍の目次
まずは、書籍の目次からご紹介📚
第1章 力学の基礎とバイオメカニクス
1 力学,運動学,バイオメカニクス,何が違うの?
バイオメカニクスという学問の位置づけ 2
2 運動学・運動力学を学ぶ前に養っておきたい直感(基礎)
次元と座標
質点と剛体
重心とは何か
力とは何か
床反力とは何か
グラフの見方
3 バイオメカニクスを学ぶために必要な運動学的・運動力学的知識(応用)
動くために必要な重心と床反力の関係(上下移動)
動くために必要な重心と床反力の関係(水平移動)
関節モーメント(基礎)
第2章 何から評価してどう治療に結びつけるか
1 片麻痺患者の評価指標のピックアップから治療までの着眼点
バイオメカニクスの評価指標
動作の分析から治療までの思考回路
2 患者の動作分析を行うための準備とコツ
臨床での動作観察・分析
患者の身体の動きが見えやすい服装にする
関節にマーキングする
全体的な特徴をとらえる
観察肢を決める
3 患者姿勢の描画方法
基本的な描き方
描き方の具体例
第3章 寝返り動作
1 寝返り動作分析の着眼点
寝返り動作の特徴
環境を含めた動作分析
2 寝返り動作のバイオメカニクス
寝返るために必要な2つの動作戦略
3 寝返り動作の相分けと着目すべきポイント
2つの力学的戦略と運動連鎖に着目する
4 片麻痺患者の寝返り動作の特徴
寝返りに必要な体幹の適切な剛体化
寝返りを阻む過度な力学的安定状態
5 片麻痺患者の寝返り動作を観察する際のポイント
寝返り動作で着目すべきポイント
6 片麻痺患者の寝返り動作の異常パターンとその問題点
頭部や足どころか,麻痺側の肩甲骨すらも持ち上げられず寝返ることができない
麻痺側の肩甲骨は持ち上げられるが,頭部を屈曲回旋させることができずに寝返ることができない
肩甲骨も頭部も持ち上げて上部体幹を回旋させることができるが,骨盤を回転させることができないため寝返ることができない
第4章 起き上がり動作
1 起き上がり動作分析の着眼点
起き上がり動作の特徴
2 起き上がり動作のバイオメカニクス
起き上がり動作をモデル化して考える
3 起き上がり動作の相分けと着目すべきポイント
第1相:背中が底面になっている相(背臥位相)
第2相:上腕が底面になっている相(上腕支持相)
第3相:前腕が底面になっている相(前腕支持相)
第4相:手掌が底面になっている相(手掌支持相)
第5相:殿部が底面になっている相(殿部支持相)
相別に見た健常者と片麻痺患者の重心位置変化の違い
4 片麻痺患者の起き上がり動作の特徴
手すりに依存する片麻痺患者
5 片麻痺患者の起き上がり動作を観察する際のポイント
片麻痺患者によくみられる誤った動作方法
6 片麻痺患者の起き上がり動作の異常パターンとその問題点
on elbow になれず起き上がることができない
on hand になれず起き上がることができない
第5章 起立動作
1 起立動作分析の着眼点
離殿を分析することの必要性
2 起立動作のバイオメカニクス
起立動作の全体的な流れ
離殿
重心の上方移動
3 起立動作の相分けと着目すべきポイント
起立動作の相分け
4 片麻痺患者の起立動作の特徴
片麻痺患者の起立動作
5 片麻痺患者の起立動作を観察する際のポイント
第1相(動き始め〜離殿)
第2相(離殿〜足関節最大背屈)
第3相(足関節最大背屈〜股関節伸展終了)
6 片麻痺患者の起立動作の異常パターンとその問題点
そもそも離殿ができない患者
離殿はできるがその後で後ろに倒れ込んでしまう(尻もちをつく)患者
動作に時間がかかり努力的である患者
7 生活に合わせた応用的な起立動作(座位から歩く動作)
立ちながら歩く
第6章 歩行
1 歩行分析の着眼点
歩行の目的と分析のポイント
2 正常歩行のバイオメカニクス
歩行と振り子モデル
歩行を矢状面から考える
歩行を前額面から考える
3 歩行の相分けと着目すべきポイント
歩行分類
ランチョ・ロス・アミーゴ方式の分類
4 片麻痺患者の歩行の特徴
矢状面の特徴
前額面の特徴
5 片麻痺患者の歩行を観察する際のポイント
ロッカーファンクションを確認する
足・膝・股・体幹・頭・手の順に観察する
分析シートに記入する
6 安定性を重視する段階の患者
転倒因子のコントロール
歩行と重心の軌跡
歩行分析に必要な「速度」という視点
7 片麻痺患者が転倒する方向
転倒パターンを解析したデータ内容
7つの転倒パターン
8 転倒パターン①:継ぎ足型の分析
継ぎ足型の転倒メカニズムの要約
症例情報
転倒の原因①:重心位置
転倒の原因②:足部の接地位置
転倒の原因③:麻痺側股関節の内転
転倒の原因④:麻痺側の歩幅拡大による上部体幹の屈曲
継ぎ足型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
9 転倒パターン②:引っかかり型の分析
引っかかり型の転倒メカニズムの要約
引っかかり型の特徴
症例情報
引っかかり型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
10 転倒パターン③:膝折れ型の分析
膝折れ型の転倒メカニズムの要約
膝折れ型の特徴
症例情報
膝折れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
11 転倒パターン④:麻痺側流れ型の分析
麻痺側流れ型の転倒メカニズムの要約
麻痺側流れ型の特徴
症例情報
麻痺側流れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
12 転倒パターン⑤:屈曲型の分析
屈曲型の転倒メカニズムの要約
症例情報
屈曲型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
13 転倒パターン⑥:逆戻り型の分析
逆戻り型の転倒メカニズムの要約
逆戻り型の特徴
逆戻り型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
14 転倒パターン⑦:失調型の分析
失調型の転倒メカニズムの要約
症例情報
失調型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
15 歩行の自立判定
歩行自立判定の指標
16 効率性を重視する段階の患者
歩行の効率性を評価する指標
17 美しさ(対称性)を重視する段階の患者
歩行の対称性を評価する指標
以上、株式会社メジカルビュー社の書籍購入リンクから引用
動作分析の基本となるバイオメカニクスをはじめとして、片麻痺患者の寝返り、起き上がり、起立、歩行までと内容豊富です。
ここからは私が実際に読んでみて、書籍の内容に関してここがすごくいいなと感じた魅力ポイントを以下にピックアップしてご紹介します。
・脳卒中片麻痺患者の動作分析における着眼点
・寝返るために必要な2つの動作戦略
・動作の問題点をフローチャートで整理
・脳卒中患者の7つの転倒パターン
脳卒中片麻痺患者の動作分析時の着眼点
脳卒中片麻痺患者の動作分析をする時には、回復段階に見合ったアプローチを念頭に置いておく必要があります。
つまり、動作に対するアプローチでは、その患者の能力に合わせた優先順位があります。
それが以下の3つになります。
[st-mybox title="" fontawesome="" color="#757575" bordercolor="#ccc" bgcolor="#ffffff" borderwidth="2" borderradius="2" titleweight="bold" fontsize="" myclass="st-mybox-class" margin="25px 0 25px 0"]【動作能力の階層性】
・安定性
・効率性
・対称性
以上、脳卒中片麻痺の基本動作分析より引用
[/st-mybox]この3つは階層性となっており、安定性の優先度が最も高いされています。
具体的な例を挙げると、、、
歩行時にふらつきが大きくて今にも倒れそうな患者に対して、
「歩行のリズムが悪いですね」とか「右に比べて左足で支える時間が短いのでしっかり左にも体重を乗せましょう」
といったお話をするでしょうか?
きっと、
「まずはしっかり立てるように練習しましょう」とか「足の支えをしっかりさせて安定して歩けるようになりましょう」
といったお話をしませんか?
つまり、安定性を獲得したうえで、エネルギー消費の少ない効率性の高い歩行や、左右の見た目のバランスも良い対称性の高い歩行を段階的に目指すべきだということです。
歩行を例に挙げましたが、他の動作においても同様です。
まずは安定性を優先する段階なのか
効率の良い動作を目指す段階なのか
見た目を含めた理想的な動作を目指す段階なのか
動作分析をする時には、患者の能力がどの段階なのかといった視点を持っておくことで、より適切なアプローチを展開していけると考えられます。
寝返るために必要な2つの動作戦略
寝返り動作は、背臥位の自由度が高いことからそのパターンは多種多様に存在します。
(19種類、11種類、4種類などさまざまな報告があるようです(本書より))
パターンのバリエーションは様々ですが、本書ではその戦略は2つに分類できると紹介しています。
それがこちらです。
・重心移動戦略
・圧中心移動戦略
重心移動戦略とは、寝返る方向へ頭部・上下肢を持ち上げて重心位置を変化させるような方法を言います。
具体的には、右側へ寝返りをする際に、対側(左側)の上肢を右へリーチするようなパターンはこれに当てはまります。
寝返り動作で屈曲パターンと呼ばれるものは重心移動戦略を利用しています。
圧中心移動戦略とは、合成床反力が作用する圧中心COP(質量の中心点)の位置を変化させるような方法を言います。
具体的には、右側へ寝返りする際に、対側(左側)の上肢で床面を押す反力を利用して回転するようなパターンはこれに当てはまります。
寝返り動作で伸展パターンと呼ばれるものは圧中心移動戦略を利用しています。
筆者はこの重心移動戦略または圧中心移動戦略が合理的に行えているかと各体節(体の各部位)の運動連鎖を寝返りの動作分析で着目すべきポイントとして挙げています。
運動連鎖の詳細については、ぜひ書籍で確認してみてください。
動作の問題点をフローチャートで整理
動作分析が苦手なセラピストの悩みは、動作をみても問題点が挙げられないことではないでしょうか。
前述したように、寝返り動作一つをとってもそのパターンは無数に存在しますが、その戦略を知っておくことで観察すべきポイントがわかるようになります。
その次の課題としては、何を問題として捉えたら良いかわからないといったことが挙げられると思います。
問題点の抽出の仕方を順序立てて教えてくれるようなツールがあったら便利だと思いませんか?
なんと本書では、その問題点の抽出方法を導いてくれるフローチャートが各動作ごと(起き上がり、起立、歩行)に記載されています。(動作分析が苦手な方にとってはこれが本当にありがたい!)
例えば、寝返りができない患者では、
[st-mybox title="" fontawesome="" color="#757575" bordercolor="#ccc" bgcolor="#ffffff" borderwidth="2" borderradius="2" titleweight="bold" fontsize="" myclass="st-mybox-class" margin="25px 0 25px 0"]⇨麻痺側肩甲骨の前方突出ができないのか
できないのであればそれは
⇨肩甲骨の可動性がないからなのか
⇨それとも重度の麻痺によるものなのか
⇨はたまた高次脳機能障害が遂行の妨げになっているのか
など、フローチャートを活用することで、チェック項目をつけていくような感覚で問題点を見つけることができます。
これは、動作をみても問題点が挙げられないセラピストにとってはかなりありがたい内容だと思います。
脳卒中患者の7つの転倒パターン
脳卒中患者の転倒パターンには、以下の7つが存在します。
[st-mybox title="" fontawesome="" color="#757575" bordercolor="#ccc" bgcolor="#ffffff" borderwidth="2" borderradius="2" titleweight="bold" fontsize="" myclass="st-mybox-class" margin="25px 0 25px 0"]【脳卒中患者の7つの転倒パターン】
・継ぎ足形(33.7%)
・引っかかり型(16.7%)
・膝折れ型(5.6%)
・麻痺側流れ型(16.7%)
・屈曲型(16.7%)
・逆戻り型(8.3%)
・失調型(2.8%)
以上、脳卒中片麻痺の基本動作分析より引用
[/st-mybox]これは、著者自身が32名の片麻痺患者の三次元動作解析を行った研究データから導き出されたものです。
おそらく本書が初公開であり、かなり貴重な知見だと思われます。
書籍の中では、各転倒パターンのメカニズムだけでなく、それぞれのパターンに対するアプローチのポイントまで具体的に紹介されています。
『第6章 歩行』では、脳卒中片麻痺患者の歩行の特徴がかなり詳しく載っており読み込む価値が非常に高いです。
本書のオススメの読み方
私がオススメする本書を読み方は、
『第2章』から読む
です。
第1章では、基本的なバイオメカニクスの知識が紹介されているのですが、力学への苦手意識がある方にとっては少し読むのに抵抗が生じるかもしれません。
それよりも、第2章で動作分析の概要を確認し、3章で寝返り動作を学んでいく過程で、必要な知識を第1章で確認していく読み方が良さそうです。
もしも本書を実際に手に取ってみて、第1章を読んでみてわかりにくいかもと思われた方は、諦めずにまずは第2章や3章から読み進めてみてください。
どんな方にオススメの書籍か
今回の書籍はこんな方にオススメです。
[st-cmemo myclass="st-text-guide st-text-guide-point" fontawesome="fa-check" iconcolor="#FF8F00" bgcolor="#FFF8E1" color="#000000" bordercolor="#FFE082" borderwidth="" iconsize="150"]動作分析に苦手意識のある方[/st-cmemo] [st-cmemo myclass="st-text-guide st-text-guide-point" fontawesome="fa-check" iconcolor="#FF8F00" bgcolor="#FFF8E1" color="#000000" bordercolor="#FFE082" borderwidth="" iconsize="150"]これから動作観察力を養っていきたい方[/st-cmemo]上記の中でも、特に脳卒中リハビリに現在携わっている方は、持っておいてまず損はないと思います!
読むことで、
自分でも動作分析ができそうな気がしてきた
とか
明日からの臨床が少しだけ楽しみだ
と思わせてくれる、そんな書籍だと感じました。
今回の記事で、書籍に興味を持たれた方は、ぜひ書店で実際に一度手に取ってみてください。
※『脳卒中片麻痺の基本動作分析 バイオメカニクスから考える動作パターン分類と治療法の選択』をご献本いただいた株式会社メディカルビュー社様へ深くお礼申し上げます。素敵な一冊に出会わせていただきました。
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