運動器疾患の中でも、椎間板ヘルニアや椎間板性腰痛の症例は少なくありません。
これらの疾患に対するリハビリテーションの前に、そもそも椎間板の構造をしっかり理解していますか?
今回は、椎間板の構造や主要成分についてご紹介します。
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椎間板の解剖学
椎間板は、中心部の髄核と周辺を囲む繊維輪の2つの要素から構成されます。椎間板の上端と下端にはそれぞれ、脊椎端板と呼ばれる椎体と椎間板を隔てる軟骨層が存在します(図1)。
椎間板の主な機能は、椎体間の動きを生み出し、椎体間に負荷を伝えることです。
図1 椎間板の構造
http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1176.pdf
より画像引用一部改変
髄核は、圧迫を受けて風船のように変形し、あらゆる方向に圧力を伝えます。繊維輪とともに体重支持に寄与します。
繊維輪は、10〜20枚のコラーゲン繊維が層板として連なった構造となっています。短時間の荷重であれば繊維輪だけでも十分な体重支持が可能¹⁾ですが、持続的な荷重により押しつぶされてしまうため、容積の圧縮を受けない髄核が付加的な支持機構を提供しています²⁾。
脊椎端板は、厚さ0.6〜1mmの軟骨層であり、髄核の全体と繊維輪の一部を覆っています。髄核からの圧力は、負荷の一部を脊椎端板が椎体に伝えます。また、繊維輪が潰れるのを防ぐ役割があります。
椎間板の成分
http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1176.pdf
より画像引用
髄核の主な成分は、水分、プロテオグリカン、コラーゲン繊維です。水分が約70〜90%を占めますが、年齢により割合は異なります。
髄核に流体特性を与えているのは水分であり、プロテオグリカンが厚さ、コラーゲン繊維が粘性に関連します²⁾。
繊維輪の主な成分は、水分とコラーゲン繊維であり、層板の隙間にはプロテオグリカンで満たされています。水分は約60〜70%を占めるとされています。
脊椎端板の主な成分は、プロテオグリカンとコラーゲン繊維です。椎体に近い部分では、より多くのコラーゲン繊維を含み、髄核に近い部分ではプロテオグリカンと水分を多く含みます。
椎間板のおいて水分は重要視されています。髄核が乾燥して繊維化するにつれて流体特性が徐々に失われ、体重を伝達できなくなり、繊維輪へのストレスが増大してしまいます。
いかがでしょうか?
椎間板の解剖学を知ることで椎間板ヘルニアや椎間板性腰痛のメカニズムについての理解を深めることができます。
まずは基本構造をしっかり知っておきましょう。
もっと詳しく学ぶなら
今回の記事は、forPTの限定note『腰椎椎間板ヘルニアの理学療法〜動作パターンの改善と生活指導に着目したアプローチ〜』より一部内容を抜粋しています。
腰椎椎間板ヘルニアに対する実践的な理学療法までしっかり学びたい方は読んでみてください。
参考・引用文献
1)Markolf, Keith L., and James M. Morris. "The structural components of the intervertebral disc: a study of their contributions to the ability of the disc to withstand compressive forces." JBJS 56.4 (1974): 675-687.
2)齋藤昭彦:腰椎・骨盤領域の臨床解剖学 原著 第4版-腰痛の評価・治療の科学的根拠-.エルゼビア・ジャパン株式会社,2008.
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