梨状筋のストレッチ方法とは?

梨状筋は、坐骨神経痛非特異的腰痛治療ターゲットになることが非常に多いです。

解剖学的肢位における梨状筋の作用は、股関節の外旋、伸展、外転であり、外旋が最も強い作用です。

ですが、、、

股関節の屈曲角度増加に伴い、外旋→内旋に作用が変わるという大きな特徴があります1)

具体的には、

『股関節屈曲0°位では、外旋作用を有します

が、股関節が屈曲するのに伴い外旋モーメントアームは低下し、

『股関節屈曲60°位では、回旋作用が無くなります

そこからさらに屈曲角度が増加すると、内旋作用に転じ、

『股関節屈曲90°位では内旋作用を有しています

この特徴から、
梨状筋をストレッチするには、

  • 股関節屈曲0°位 では、

→股関節の内転、内旋方向に伸張

  • 股関節屈曲60°位 では、

→股関節の内転方向に伸張

  • 股関節屈曲90°位 では、

→股関節の内転、外旋方向に伸張

すればよいことになります。

では、、、

最も梨状筋をストレッチできるのはこの中でどの肢位か・・・?

ずばり!!!

股関節屈曲90°位で内転、外旋方向へ伸張

になります2)

この肢位から、さらに股関節屈曲、内転、外旋方向にストレッチしていくことで、より強い伸張が得られます3)

梨状筋をストレッチする際の工夫として、

膝関節屈曲位(大腿二頭筋を弛緩するため)とし、骨盤を前傾、後方回旋方向へ徒手で固定して行うと、より的確に伸張することが出来ます。

また、臨床では梨状筋にスパズムを起こしている症例が多いため、ストレッチだけでは無く、筋の反復収縮も行うのが効果的です。

いかがでしょうか?

梨状筋へのアプローチの手助けになれば幸いです。

情報は随時更新していきます。

参考・引用文献
1)市橋則明:身体運動学 関節の制御機能と筋機能.株式会社メディカルビュー社.2019.
2)VAARBAKKEN, Kjartan, et al. Lengths of the external hip rotators in mobilized cadavers indicate the quadriceps coxa as a primary abductor and extensor of the flexed hip. Clinical Biomechanics, 2014, 29.7: 794-802.
3)MCGOVERN, Ryan P.; KIVLAN, Benjamin R.; MARTIN, RobRoy L. Length change of the short external rotators of the hip in common stretch positions: a cadaveric study. International journal of sports physical therapy, 2017, 12.7: 1068.

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