上腕骨外側上顆炎の病態と臨床

上腕骨外側上顆炎の定義と疫学

上腕骨外側上顆炎は、上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2024 改訂第3版で短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis:ECRB)腱付着部障害とそれに付随する外側側副靱帯複合体(lateral collateral ligament complex:  LCLC)損傷や滑膜炎や滑膜ひだ障害といった関節内病変、さらに初版、第 2 版では除外された橈骨神経管症候群も含む肘外側の痛みを主体とした一連の疾患群¹⁾と定義されています。

上腕骨外側上顆炎の有病率は一般人の1~3%程度で、内側上顆炎の7~10倍多く、好発年齢は30〜50歳代で、発症率に男女差は示されていません。やや女性が多い²⁾という研究も散見されます。

難治例や重症例では、輪状靭帯、滑膜ひだ、関節包など硬化した複合体が存在し、組織の変性と修復を慢性的に繰り返すことで瘢痕化したもの³⁾と考えられています。

上腕骨外側上顆炎の職業別罹患率は、PC(デスクワーク)が32%、次いで重量物運搬が15%と多く、スポーツ別では、テニスが32%、ついでゴルフが30%と多くの割合を占める³⁾と報告されています(図1)。

図1 上腕骨外側上顆炎の職業別罹患率
3)より画像引用

短橈側手根伸筋(ECRB)の構造

短橈側手根伸筋腱は、浅層伸筋群のなかで唯一筋成分を含まず腱成分のみで起始し、深層を裏打ちしている関節包は膜厚が薄く、付着幅が狭い¹⁾³⁾とされています。

また、短橈側手根伸筋は他の伸筋と比較し正常な生理学的サルコメア長(至適長)がより大きいため、機能の増大による筋疲労の過多や、毛細血管の伸長による微小循環の減少が生じる⁴⁾とされています(図2)。

図2 短橈側手根伸筋の解剖
(RADIAL N.:橈骨神経、BRACHIAL A.:上腕動脈、SUPERFICIAL BRANCH OF RADIAL N.:
 橈骨神経浅枝、POSTERIOR INTEROSSEOUS N.: 後骨間神経、ECRB:短橈側手根伸筋、EDC:総指伸筋)
4)より画像引用

上腕骨外側上顆炎の原因と発症要因

痛みを起こす原因動作には、回内作業、持ち上げ動作、強く握る作業の繰り返しの関与¹⁾が挙げられています(図3)。

図3 痛みを起こす原因動作

バイオメカニクス的要因⁵⁾としては、①小指・環指(尺側)グリップが行えないことによる橈側優位の筋活動(橈側グリップ)、②橈骨の前方偏位(橈骨後方可動性低下)、③肩甲胸郭関節の安定性・可動性低下などが挙げられています(図4)。

図4 左から橈側優位の筋活動(橈側グリップ)、②橈骨の前方偏位(橈骨後方可動性低下)、③肩甲胸郭関節の安定性・可動性低下のイメージ

全身性の危険因子として、女性、現在喫煙者、または喫煙歴あり、利き手側、BMI25以上の肥満者、HbA1cが6.5以上の高血糖患者、閉経後が有意な危険因子¹⁾としてあげられています。

また、肘関節の外反変形角度であるcarrying angleが本症の発生頻度との関連が示されており、摩擦や圧迫ストレスの増大が考えられています⁶⁾(図5)。

図5 carrying angle
6)より画像引用

上腕骨外側上顆炎の身体所見

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