仙腸関節は腰痛治療で見逃すわけにはいきません。
いまだに「仙腸関節は不動の関節」といった話を時折耳にしますが、臨床を経験している理学療法士でそのような解釈をしている方はいないのではないでしょうか。
それだけ仙腸関節は、臨床において無視できない関節なのです。
慢性腰痛のうちの約13%は仙腸関節痛との報告1)もあります。
仙腸関節には4つの運動(ニューテーション、カウンターニューテーション、インフレア、アウトフレア)があることを以前ご紹介しました。
https://forphysicaltherapist.com/post-171/
https://forphysicaltherapist.com/post-194/
今回は、
仙腸関節のニューテーションとカウンターニューテーションを制御する筋肉および靭帯
さらに、
仙腸関節の安定性に関わる筋肉および靭帯
をご紹介します!
さっそくまいります。
・ニューテーションを制御する筋肉および靭帯1-4)
仙結節靭帯
仙棘靭帯
前仙腸靭帯(前上方繊維束、前下方繊維束)
大腿二頭筋
ニューテーションを制御する筋肉および靱帯
仙結節靭帯は、坐骨結節の内側縁に付着し表在繊維は大腿二頭筋腱に続きます5)。
・カウンターニューテーションを制御する筋肉および靭帯1,3,4)
長後仙腸靭帯
カウンターニューテーションを制御する筋肉および靱帯
カウンターニューテーションを唯一制動することがわかっているのが長後仙腸靭帯です。侵害受容器が豊富にあり、ASISの直下で圧痛所見がみられやすいです。
・仙腸関節の安定性に関わる筋肉および靭帯1,3,4)(上述以外を記載)
骨間仙腸靭帯
短後仙腸靭帯
腸腰靭帯
大殿筋
多裂筋
梨状筋
脊柱起立筋
腹直筋
内腹斜筋
外腹斜筋
広背筋
胸腰筋膜
腸骨筋
仙結節靭帯には、大腿二頭筋、大殿筋、多裂筋、梨状筋が直接付着し、安定性に貢献します3)。
仙腸関節の安定性に関わる大殿筋、胸腰筋膜、広背筋の筋筋膜連結について下記も参考にしてみてください。
https://forphysicaltherapist.com/post-406/
いかがでしょうか?
書籍によって靭帯の名称など多少異なるので、ご自身が持っている解剖学書でもぜひチェックしてみてください。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)齋藤昭彦:腰椎・骨盤領域の臨床解剖学 原著 第4版-腰痛の評価・治療の科学的根拠-.エルゼビア・ジャパン株式会社,2008.
2)EICHENSEER, Paul H.; SYBERT, Daryl R.; COTTON, John R. A finite element analysis of sacroiliac joint ligaments in response to different loading conditions. Spine, 2011, 36.22: E1446-E1452.
3)John Gibbons:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ,株式会社医道の日本社,2019.
4)A.I.KAPANDJI:カパンジー機能解剖学Ⅲ 原著第7版,医歯薬出版株式会社,2019.
5)WILLIAMS, Peter L., et al. Gray's Anatomy: The Anatomical Masis of Medicine and Surgery. Churchill-Livingstone, New-York Edinburgh London Tokyo Madrid Melbourne, 1995, 1275-1284.
6)Neumann, Donald A.:筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版. 医歯薬出版株式会社, 2018.
forPTの限定noteが大好評販売中!
毎月新作noteをお届けする読み放題プラン(定期購読)がオススメです。
ブログ記事の先行公開(パスワードあり)はこちら⏬⏬
歩行分析サロンへの入会はこちら⏬⏬
症例の歩行動画を通して動作分析スキルを極めたい方にオススメです。