肩峰下インピンジメント症候群のリハビリに苦労していませんか?
肩峰下インピンジメントは、肩関節外転60°~120°の範囲で生じる肩関節痛が特徴です。
このような外転運動の一定範囲内のみで疼痛が生じることをペインフルアークサイン(painful arc sign)と言います。
今回は、肩峰下インピンジメント症候群を評価する上で大切な『大結節の通路』についてご紹介していきます。
この記事を読むと、肩関節のどの辺でインピンジメントを起こしているのかな?がわかるようになります。
大結節の位置における各領域
大結節の位置における各領域
大結節の位置における各領域
名称 | 大結節の位置 |
E(External rotation position) | 上腕骨下垂かつ外旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側(外転運動軌道) |
N(Neutral position) | 上腕骨下垂位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側 |
I(Internal rotation position) | 上腕骨下垂かつ内旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の外側(屈曲運動軌道) |
ER | 上腕骨外旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下 |
NR | 上腕骨中間位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下 |
IR | 上腕骨内旋位で肩峰や烏口肩峰靱帯の直下 |
P(post-rotational glide) | 屈曲外転最終域で肩峰や烏口肩峰靱帯の内側 |
大結節の通路
大結節の通路①
大結節の通路②
大結節の通路
名称 | 説明 |
postero-lateral path(E ↔ P) |
後外側路 |
neutral path(N ↔ P) |
中間路 |
anterior path(I ↔ P) |
前方路 |
pre-rotational glide |
大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯の外側の領域(0°~60°) |
rotational glide |
大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯の直下の領域(60°~120°) |
post-rotational glide |
大結節が肩峰や烏口肩峰靱帯より内側の領域(120°~) |
ペインフルアークサインは、rotational glide域で疼痛が生じることになります。
さらに、肩関節内旋位ではanterior path(肩峰下の前方)でインピンジメントを生じやすく、外旋位ではposterior-lateral path(肩峰下の後外側)でインピンジメントを生じやすいです。
今回の大結節の通路の考え方を知っていれば、肩峰下腔のどのあたりでインピンジメントが生じているのかを推論していくことに繋がっていきます。
実際の評価では、肩関節の整形外科的テストが非常に役立ちます。
いかがでしょうか?
肩関節内で何が起こっているのかイメージしずらいという方の参考となりましたら幸いです。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)工藤慎太郎:運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略.株式会社医学書院,2017.
2)林典雄:運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 上肢編.株式会社医学と運動の出版社,2019.
3)信原克哉:肩 その機能と臨床 第3版.株式会社医学書院,2001.
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