筋紡錘とゴルジ腱器官

筋紡錘とゴルジ腱器官¹⁾²⁾

筋紡錘の構造と役割

筋紡錘は、筋の中に存在し、紡錘状の鞘に入っており、筋長の変化を知らせる役割があります(図1)。一般の筋繊維(錐外筋繊維)と平行に存在します(図2)。
錐外筋繊維は、太い有髄神経であるα運動ニューロンによって支配され、錐内筋繊維は細い有髄神経であるγ運動ニューロンによって支配されます。

図1 筋紡錘(核鎖繊維と核袋繊維)と錐外筋繊維
2)より画像引用

図2 マウスの前脛骨筋の染色による筋紡錘の描出
3)より画像引用

筋紡錘の中にも筋繊維(錐内筋繊維)があり、核袋繊維と核鎖繊維が含まれます。核袋繊維はさらに静的繊維と動的繊維に分類されます(図3)。

図3 錐内筋繊維と神経分布
1)より画像引用

1つの筋紡錘には通常2〜3本の核袋繊維があり、核鎖繊維はばらつきがありますが、通常は5本程度ある¹⁾とされています。

すべての錐内筋繊維には、中央部分にらせん状にⅠa群繊維の軸索がからまって、一次感覚神経終末を形成しています。Ⅰa群繊維は筋が伸びた時に反応する⁹⁾とされます。一次感覚神経終末は伸張速度への感度が高く、これにより運動速度に関する情報を供給することが可能です¹⁾。

静的核袋繊維と核鎖繊維の中央部付近には、Ⅱ群繊維の軸索が巻きつき、二次感覚神経終末を形成しています。Ⅱ群繊維の反応は筋の長さに比例する²⁾とされています。

一次感覚神経終末および二次感覚神経終末の持続的発火は、筋長が安定長になっていることを示します(図4)。

図4 γ運動ニューロンの選択的活性化に対するⅠa群感覚繊維の応答
1)より画像引用

γ運動ニューロンは、動的γ運動ニューロンと静的γ運動ニューロンの2種類存在します。動的γ運動ニューロンは、動的核袋繊維のみを支配し、静的γ運動ニューロンは静的核袋繊維および核鎖繊維を支配しています。

αーγ連関

α運動ニューロンは錐外筋を支配し、γ運動ニューロンは錐内筋を支配します(図5)。

図5 錐内筋繊維と錐外筋繊維
2)より画像引用

α運動ニューロンのみを刺激した場合、筋収縮中に筋が短縮して筋紡錘が無負荷状態になる(緩む)ため、筋紡錘からのⅠa群繊維の発火は休止します。

しかし、γ運動ニューロンとα運動ニューロンを同時に刺激すると、発火は休止しません。

これは、γ運動ニューロンが錐内筋繊維の両端にある収縮性部位を支配し、錐内筋繊維の長さを調整しているためです。

つまり、随意運動時にはγ運動ニューロンが錐内筋繊維を収縮させることで、錐内筋繊維の弛みを補正でき、Ⅰa群繊維の反応(筋紡錘の感度)を維持できるとされています(図6)。

図6 αーγ連関
(A:筋の伸張に伴うⅠa群繊維の発射
B:α運動ニューロンのみを刺激するとⅠa群繊維の反応が落ちる
C:α運動ニューロンとγ運動ニューロンを同時に刺激するとⅠa群繊維の反応が維持できる)
2)より画像引用

ゴルジ腱器官の構造と役割

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。 ログインは【こちら】. 新規会員登録は【こちら】