ばね指は理学療法の対象外だと思っていませんか?
身の周りの家族や親戚で、ばね指の方はいませんか?
「痛いの我慢できなくて手術することにしたの」
なんて話も耳にしている方はいるかも知れません。
本当にばね指に対して、私たちセラピストがやれることはないのでしょうか?
いいえ、あります。
ばね指に対して、一般的に行われる治療法は、
局所の安静、ステロイドと麻酔薬の局所注射、消炎鎮痛薬(湿布など)1) です。
これらの保存療法で改善が得られない場合は、腱鞘の切開を行う手術が選択肢としてあげられます。
では、理学療法士がばね指に対してできることは何でしょうか?
それは大きく3つあります。
・リハビリの適応があるのか評価する
・筋筋膜に対するアプローチまたはモビライゼーション
・セルフエクササイズの指導
これら3つの理学療法士ができる役割について、本ブログで1から整理していきたいと思います。(ばね指に対応できるセラピストを目指しましょう!)
今回は、リハビリの適応があるのか評価するうえで知っておきたい手指の靱帯構造についてまとめていきます。
手指の靱帯構造
手指の腱鞘を補強する靱帯
2)より画像引用一部改変
A1~A5(輪状部)、C1~C3(十字部)は手指の腱鞘を補強する靱帯です。
これらの靱帯は、腱鞘部内の浅指屈筋および深指屈筋が骨から浮き上がらないように制動し、滑車のような働き(プーリー)をします3)。
プーリーの構造
3)より画像引用一部改変
ばね指では、A1のプーリー構造の破綻が多い4)です。
手術では、A1の切離だけでなく、母指以外であればA2を切離も行います1)。
プーリー構造が破綻すると、屈筋腱は腱鞘内をうまく滑走できずに引っかかりが生じます(これがばね指!)。
プーリー構造の破綻については、下記の動画がイメージしやすいと思います。
英語が何となく理解できる方であれば、こちらの海外サイトの動画もばね指の病態を理解するうえで参考になると思います⏬
いかがでしょうか?
今回は、ばね指の病態やリハビリの適応があるか評価するうえで必要な知識をご紹介しました。
次回は、実際にどう評価しリハビリの適応を判断していくかをまとめていきたいと思います。
情報は随時更新していきます。
参考・引用文献
1)高橋邦泰:整形外科テキスト 改訂第3版.株式会社南江堂,2012.
2)坂井建雄:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論運動器系第3版,株式会社医学書院,2019.
3)西森美佐子,他:関節超音波像からみた屈筋腱腱鞘炎 (ばね指) の病態的特徴. 超音波検査技術, 2013, 38.1: 13-20.
4)澤泉卓哉:ばね指(弾揆指)の診断と治療.痛みと臨床2006, 6(1): 45–50.
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